なめこ先生の我ら食べ鉄道中記

関西流電の流れを受け継いだ名車です。登場したのは1979年。京阪神の大都市区間で阪急や京阪、阪神の特急に車両やサービス、スピードで遅れを取っていた国鉄が切り札として投入した新快速用の車両です。2扉転換クロスシートと当時の特急並みの破格の設備を誇り、乗り心地はディーゼル特急以上でかつ電車特急に伍するものを持つなど、大阪鉄道管理局の力の入れようは半端ではありませんでした。

最高速度も110km/h（後に115km/hにアップ）と姉妹車の185系と同等の性能を持ち、京都～大阪間を29分で走る俊足ぶりも発揮。新快速のサービスを遠距離まで拡幅する嚆矢ともなりました。新快速の登場当初は京都～西明石間と、京阪神の私鉄との競合区間で高速サービスを提供する目的で運行されましたが、これが現在は東端が米原、敦賀、西端が播州赤穂、上郡と大幅に広がり、関西の都市圏の拡大にも社会的に影響を与える存在となっています。

その後、JRに引き継がれた後は中京圏の快速・新快速にも進出。ハイクオリティなサービスで私鉄から乗客を奪うことにも成功しています。その後は221系や223系、311系、313系などの後継車が出てきてからは、新快速の運用からは外れ、福知山線や奈良線、山陽線（主に岡山～福山間）などで快速として活躍し、末期には紀勢線、和歌山線、山陽線の下関～岩国間、湖西線、草津線などにも入り、地方線区の普通列車のサービスアップにも貢献しました。しかし、現在の新快速・特別快速は120km/h～130km/hと最高速度で劣る115系では対応できなくなり、車両の老朽化も進行して廃車が進んでいきます。



登場時はブラウンの帯にベージュの専用塗装が施されるなど、流電からの車体色を纏ったシックな出で立ちでしたが、各地に転属されるとカラフルな塗装となり、末期に走った車両は黄色一色でした。新快速として走り出してから44年。定期列車としての引退は岡山でした。

今後ですが、117系はウエストエクスプレス銀河の6両が今後も不定期ながら走り続けますが、完全に廃車となったわけではありません。実は、



下関に残る115系3000番台の一部に、117系から編入された車両がまだまだ走ります。3000番台は17編成68両が走っていて、そのうちの7編成に117系からの編入車が入っています。編入車は3500番台を名乗っており、乗る前に簡単に見分けがつきます。また、外からの判別も容易で、クーラーが大型になっていること、空気バネ台車（115系は基本はコイルバネ台車）になっていることがポイントです。

高い確率で乗るのを狙うなら、本数の多い下関近郊区間（下関～小月間）で待った方が時間のロスも少なくて済みます。3000番台、3500番台は227系などへの置き換えの話が今のところ全くないので、門司や小倉方面からちょい乗りで行くこともおススメです。

オリジナル塗装での117系は終わってしまいましたが、うなりを上げて走る姿は健在です。そう考えるとファンとしてはもう少し楽しめるのではないかなと思っています。

なお、117系はリニア鉄道館と京都鉄道博物館に静態保存されていますが、関西の名車であるだけに長く現役で走ってもらいたいものですね。