なめこ先生の我ら食べ鉄道中記

※写真は著作権フリーの素材を使っています。

今週22日に発生した東海道新幹線の保守車の脱線事故。名古屋～浜松間が終日運休になるなど、25万人以上に影響を与えた輸送障害となりました。この日は在来線の振替輸送のため、浜松駅と豊橋駅が大混乱になるなど、各駅停車に乗るまでに2時間以上かかった方も多く出ています。こういったときにどのような策を取るかが問題に出てきましたが、これは全ての旅行者にとって知っておくべき術です。是非一度読んで頂き、もしものときの備えに使ってもらえたらと思います。

【東海道新幹線が不通になった場合（名古屋～浜松・静岡間）】
今回の混乱では、東海道新幹線が別格の公共交通機関であることが明らかになりました。不通になってからJALとANA、スカイマークが臨時便を出して対応してくれましたが、焼け石に水。新幹線の輸送量は航空機の10倍は違いますから、足止めを喰らった方も多く出ています。

名古屋～新大阪間は大雪による徐行運転や運休がしばしばありますが、近鉄が代替ルートになるので、この区間については簡単に対応が可能です。問題は名古屋以東の区間で不通が出た場合。こうなると在来線の乗り継ぎがカオスになるのは明らかです。代替として、高速バスや航空機を選ぶ方も多いですが、輸送量が違い過ぎるので、もしもの手段となると難しいのが現状です。日本テレビのXで代替路を示してくれたこともあり、これを使われた方も多いかと思います。

東京⇔名古屋の場合
１、しなの、あずさを塩尻 or 松本で乗り継ぎ
２、北陸新幹線、しなのを長野で乗り継ぎ
３、北陸新幹線、ひだを富山で乗り継ぎ
４、北陸新幹線、しらさぎを敦賀で乗り継ぎ

東京⇔京阪神の場合
１、北陸新幹線、サンダーバードを敦賀で乗り継ぎ
２、名古屋まで出て名古屋からは近鉄

上記のルートは、その代表例です。実際、このルートの迂回で何とか目的地まで辿り着けた方も多いかと思います。実は他にも迂回ルートは多くあり、管理人もXで提案をしましたが、東京⇔名古屋間はこの他にも多くあります。その実例を以下に挙げます。

１、新宿⇔岡谷（あずさ）
　　岡谷⇔伊那市（中央線、飯田線）
　　伊那市⇔名古屋（高速バス）
　※あずさと高速バスの組み合わせ

２、新宿⇔駒ヶ根 or 飯田（高速バス）
　　駒ヶ根 or 飯田⇔名古屋（高速バス）
　※高速バスの乗り継ぎ

ポイントは中央自動車道を走る高速バスです。南信州を結ぶ高速バスは意外と本数が多く、名古屋からも実は本数がそこそこあるので、何かのときには使えるルートなのです。もし渋滞があったとしても、名古屋や新宿といった終点まで乗らなくても手前のバス停（名古屋だと栄や桃花台、新宿では高速日野や高速深大寺）から電車のアクセスが充実しているので、こういった使い方も考える余地はあります。

【東海道新幹線が不通になった場合（東京～浜松・静岡間）】
この場合は在来線の本数が少なくとも20分に１本あるので、在来線を活用する方が多く出てくるかと思います。ただ、客が集中しやすいので、他の経路についても頭に入れておくとよいでしょう。迂回の例は以下のルートが挙げられます。

１、静岡⇔甲府（ふじかわ）
　　甲府⇔新宿（あずさ・かいじ）
　※尚、土日祝日は高速バスも選択肢として使えます（但し、2往復しかないので注意）。

２、静岡⇔三島（在来線）
　　三島⇔河口湖（富士急高速バス）
　　河口湖⇔新宿（フジサン特急とかいじ or 富士回遊）
　※高速バスと富士登山鉄道・中央線との組み合わせ

３、静岡⇔御殿場（在来線、沼津乗り換え）
　　御殿場⇔小田急新宿（小田急ふじさん）もしくは松田で小田急（急行・快速急行）に乗り換え
　※御殿場線を使う場合

【山陽新幹線が不通になった場合（新大阪～姫路間）】
この場合は、JR神戸線や阪神と山陽の直通特急が代わりになりますので、足の確保は簡単です。

【山陽新幹線が不通になった場合（姫路～岡山～広島～小倉間のいずれか）】
問題は姫路～岡山～広島～小倉間が不通になったとき。こうなると代替経路は基本的に山陽線が軸となります。ただ、姫路～岡山間の場合は、相生から赤穂線が使えること、時間帯によっては稀ですが、スーパーはくととスーパーいなばを上郡で乗り継ぎできることから、例外として見ておきましょう。他には、三原～広島間は呉線もバイパスとして考えることになります。

広島～福岡間は高速バスが平行して走っていますが、本数が少ないので振替とまではいかないのが難点です。ここで関西⇔九州間を往来するのであれば、フェリーが視野に入ってきます。フェリーを代わりに使う場合は、名門大洋フェリーと阪九フェリーが使えますので、陸路や空路以外の選択肢も頭に入れておくとよいでしょう。ただし、阪九フェリーは発着地が泉大津と神戸の六甲アイランドと中心部からは外れるので、行き方についてはしっかり確認をしておきましょう。

あと、有用な使い方ではないのですが、終日不通や長期運休になった場合は、四国回りでの選択肢もあります。

岡山⇔松山（しおかぜ）
松山⇔八幡浜（宇和海）
八幡浜⇔別府 or 臼杵（フェリー）
別府 or 臼杵⇔小倉、博多（にちりん、ソニックなどの特急）

ただし、上記のルートは完全にプロ向きです。一般向けではないので、もしものときの備えであることに留意ください。また、八幡浜からフェリーに乗るときは、駅から港まで２kmあります。最低でも乗り継ぎには1時間は確保しておきましょう。別府からもフェリー乗り場から駅まではバスないしタクシーが必要となります。臼杵を使う場合、日豊本線の時刻表を予め調べておき、ダイヤの見通しを持って使ってください。

【山陽新幹線が不通になった場合（小倉～博多間）】
北九州～福岡間は交通のアクセスがよいので、鹿児島本線や高速バスが使えます。問題は鹿児島本線も不通になったとき。Wで不通になると高速バス以外の選択肢も考える必要があります。そこで、高速バスと鹿児島本線を使わなくても行ける選択肢があるのです。あんまり現実的ではないのですが、もしものときには以下の経路があります。

１、小倉⇔黒崎（西鉄バス：特快もあり）
　　黒崎⇔筑豊直方（ちくてつ電車）
　　直方⇔博多（福北ゆたか線）
※筑豊直方～直方駅までは歩いて10分の徒歩連絡です。

２、小倉 or 戸畑⇔若松（バス）
　　若松⇔直方⇔博多（若松線と福北ゆたか線、折尾と直方で乗り換えのパターンが多いです。）
※戸畑～若松間は渡船による移動も可能です。また、小倉～戸畑間はバスの本数も多くあります。

３、小倉⇔田川伊田 or 田川後藤寺（日田彦山線）
　　田川伊田 or 田川後藤寺⇔博多・天神（西鉄バスの筑豊特急系統）

４、小倉⇔田川後藤寺（日田彦山線）
　　田川後藤寺⇔新飯塚（後藤寺線）
　　新飯塚⇔博多（福北ゆたか線）

特徴として、いずれのルートも筑豊回りになります。かなり大回りの経路ですが、特に４は予算を低く抑えられます。

【まとめ】
メディアで取り上げられた迂回ルートは、主に幹線を主体としたものが提案されています。しかし、これらの代替経路はやはり人が多く集中することが確実で、ストレスも相当かかりますよね。管理人が提示した経路は、ファン向けまたは旅行に慣れた地理に強い方向けの行き方です。実はよく考えると、交通網は陸路のみに固執しなくてもいいのです。何かのときには色々な行き方を組み合わせて対応していきましょう。最近のJRは、線路トラブルや故障などでの運休や不通が増えています。来週から遠征に出るので、引き出しはいくらでも持っておいて損はありません。一つの経路にこだわらず、複数持っておいておくと安心です。皆様、ご参考にどうぞ。