長男 太吉は父ちゃん譲りの性格か、心配性です。
一方、次男の仁吉は母親譲りの性格か、おとなしそうな顔をしていながら
「まぁ、いいやん!」といい加減なところがあります。
今月末に開催される小学生の陸上大会に向けて、
夜8時から友達と、たびたび外へ走りに出かける仁吉が、
何度か9時を過ぎても帰らないことがありました。
一人ではないものの、時間が時間ですから確かに心配します。
本人は、家からすぐ近くの公園でトレーニングしているので、
5分や10分遅れても、平気な顔で帰ってきます。
しかし、仁吉が時間通りに帰ってこないと、
母より落ち着かないのが太吉です。
「お母さん、もう9時過ぎたで!
大丈夫か?!
あいつ何してんねん!」
とにかく仁吉が帰って来るまで、ブツブツ言いながら
私につきまといます。
そのくせ、「ただいま~!」と仁吉が帰ってくると、
いままで心配していたのに知らん顔。
な~んや、それ!
1度は、私が三吉のレスリングの送迎に出かけている時、
仁吉が“夜練”に友達と出かけ、
また約束の時間になっても帰って来ないときがありました。
その時、家にいた太吉は携帯に電話してきて、
「まだ仁吉が帰ってこないねん!
どこまで走りに行ってるんやろ?!」
と心配しまくり。
「どうせ第4公園にいてるんやろ。
そんなに心配やったら見てきたら?」
と言うと、
「いいわ、そこまでせぇへんし!」
でも、その後すぐ第4公園まで探しに行って、
友達とトレーニングしている仁吉を見届けて、
安心したら、また知らん顔で家にこっそり戻っていました。
な~んや、それ!
今度は昨日。
自転車で15分ほどの塾に通っている仁吉が、いつもの時間に帰って来ません。
また、太吉の「仁吉、遅いなぁ・・・」が始まりました。
午後6時半をとっくに過ぎて、外は真っ暗。
太吉は、勉強の手が完全に止まって、私をつかまえてブツブツ・・・。
そこへ、玄関に自転車の止まる音がしました。
太吉は大急ぎで窓を開けて、こっそり仁吉を確認すると、
また知らん顔して勉強机に向かいました。
な~んや、それ~!
私は、帰って来た仁吉に、「あんなぁ、たき兄ちゃんってなぁ・・・」
と、これまでの太吉の様子を教えてやりました。
仁吉は、嬉しそうにニヤニヤしながら、
「兄ちゃん、ぼくのこと愛してるからな!」
な~んや、それ~!
いつもはけんかばかりでも、いざと言うときは、
助け合ってくれるかなと、少し期待した母でした。