霧のような雨の中
ひとり
車の中から
外を眺める
一人が好きなはずなのに
おかしいよね
君がここにいない事実が
こんなにありありと
孤独が好きな
わたしの心にも
雨を降らせる
カーステレオから
流れ出すピアノの音
ココロの水滴を
ふるい落とすかのように
ボリウムをあげたけど
水滴は落ちるどころか
震えて集まり
ココロの形さえ顕わにする
ちりぢりと
ちらばり広がって
見えない糸に
すがるしかない
地面に落ちたら
見うしないそうなココロ
いっそ雨が
すべてを流すほど
強く降ればいいのに
霧雨は
強くもならず
止むでもなく
ただ無言で
1グラムにも満たない雨と
雨に湿った心を
そっとかかえて
しずかに
世界を包んでいた