ねぇ
雨が降ってきたよ
ほんの今まで
君の声しか
この世界にはなかったのに
ねぇ
まるで映画のシーンが
一瞬で替わるように
今まで君の声を届けていた
真っ白の携帯
「ぱくり」と音を立てて
半分にたたむと
部屋中を包む
柔かなホワイトノイズ
君の不在が作り出す
はてしない空虚広がる
心の隙間に
やわらかな雨の音が
注ぐように流れ込んで
君の声が途切れた夜
雨音 部屋の中にみちて
鈍(にび)色の雲
ピアノブルーの夜が覆う
瞳を閉じて
長いため息ひとつ
君の名前で縁取りをして
窓をつたう雫
涙のかわりにそっと仕舞いこむ
君からの着信を知らせる
ブルーのランプに
恋焦がれながら
雨音で心を包んで
今宵は
私の上に広がる
抱きしめられる空がないから
一人しずかに
そっとうつぶせて
君の夢を見よう
ネット詩誌 MY DEAR
新作紹介掲載作品
主催者・島様に感謝