空が近い部屋
後ろから君が抱きしめる
何も隔てる距離がない
小さな部屋
下に広がる国道
行き交う車たち
こんなにたくさん人はいるのに
私を幸せな気持ちにするのは
後ろに居る君だけだ
短くしたばかりの
私の髪に顔をうずめて
会いたかったと
ただ 一言
電波を通さない
その声が聞けるという
何気ないことに幸せを感じながら
私も という一言さえ
スムーズにでてこないくらい
いろんな想いが溢れだす
何から話そうか
話さなくても分かるよ
静かに抱きしめられて
無言のまま窓の外の空を見上げて
空と雲を少しづつ切り取った
真四角の折り紙で紙飛行機を折って
小さくたたんだ想いを
心の中から窓の外に飛ばす
つらかったこと
さみしかったこと
切なかったこと
泣いたこと
君には見せたくないから
向き合う前に空に放った
6階の窓
通り過ぎる風
秋が見える
昼下がりの部屋
ネット詩誌 MY DEAR
新作紹介掲載作品
主催者・島様に感謝