やっとまた会えた
空の向こうの君
しばらくの間
君の周囲で吹き荒れた嵐も
なんとか通り過ぎて
新しい日々のリズムを紡ぎだす
今までと違うことに
戸惑ったり
少し慣れてきたり
距離が増した分
実際に会うことはまた
少し難しくなるけれど
心の距離は
何も隔てがないほど
愛しく近い
君の溜息をつくる
過去の思い出が
やっと君から手を離し
自由な腕が
躊躇うことなく
私の手を握り締める
確かなあたたかさに
目を閉じて
相槌を ひとつ
ずっとかわらず
平行になっていた距離が
いつか近づいて
この 物理的な距離も
いつかはなくなる
まずはとりあえず
君とはなれるとき
確認する忘れ物が
ひとつ なくなって
君が新しい生活に
早く慣れるようにと
ただ祈るばかり
忘れ物がなくなった
君の横顔に
珍しく引いた口紅が
ピンクベージュの飛行機雲
うっすらと軌跡を残して
いままでの泣き顔じゃなく
笑顔で手を振りながら
ゲートに飲み込まれる私
いつもと
少し違う空
それでもやっぱり
かかる雲の上
旅立ちは 晴れ
ネット詩誌 MY DEAR
新作紹介掲載作品
主催者・島様に感謝