午前五時
前日から続いた
諸々を
シャワーで洗い流す
新しい今日が
来たことを告げる挨拶を
聞き逃さないために
電気もつけないバスルーム
まだほの暗い空間に
跳ねる水音
日々
時間は移ろう
夕闇が静かに忍んできていて
気がついたときは
すでに紙一重の距離にいて
その腕に突然抱き包(くる)められ
いつの間に時が経ったのかと
はっとする
そんな日が増えたのと同じ数だけ
月や星と別れを告げる朝の
思いが深まって
滞在時間も伸びがちになり
夜が明けるのがずいぶん遅くなった
体の表面を覆う熱気も
鳴りを潜め
朝はひやりとした
涼しい空気が
この世界に満ちる
濡れた髪を雑に拭いながら
まだ誰も起きてこない台所(キッチン)で
やかんに水を入れて
カタリと音を立てて
青い火を点してお湯を沸かし
温かいコーヒーを一杯
まだ動かないひやりとした空気が
コーヒーの湯気で動き出し
香ばしい香りのちいさなつむじ風をおこす
機械で冷やさずとも
涼やかな朝
汗ばむこともなく
飲む温かい飲み物
「おいしい」
香ばしい安堵のため息と一緒に
唇からこぼれた言葉
今 このとき
私の秋はうまれた
ネット詩誌 MY DEAR
新作紹介掲載作品
主催者・島様に感謝