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テーマ:心の病(7246)
カテゴリ:アルコール依存症という病気
この事件での報道をテレビで見ていて、
私のような素人がこのようなささやかなブログで語らなくても、誰かが報道して、 正しい知識をこのような、多くの人が目にする機会に伝えてくれるだろうと思っていたのだけれど、 驚いたことに今の所そのような見方をされていたり、コメンテーターのコメントを乗せている番組をあまりにも目にしないので、思わず書いてしまっています。 アルコール依存症という病気をご存知でしょうか? おそらく誰もが耳にした事のある、言葉だと思います。 「アル中でしょ?」って思われる人も多いと思います。 名前と裏腹で、患者数の多さに比べてこの病気のことを知っている方はあまりにも少ないと思います。 これは進行性の不治の病です。 もちろん健康保険適用です。 放置した時の、この病気に罹った人の平均寿命はおよそ52歳という、 ややショッキングな事実もお知らせしたいと思います。 だけれど、死亡記事にこの病名は載りません。 死因は肝臓癌だったり、事故死だったり、肺気腫や大腿骨骨とう壊死と書かれたり様々です。 諸外国でもこの52歳という死亡時年齢はだいたい同じらしいですが、あくまでも平均です。 独身の方などではこれよりも早い時期に、逆に配偶者が離婚や別居せずに暮らし続けた人の平均はそれよりやや遅く、60歳くらいと言われています。 私の父は去年、61歳になったばかりで亡くなりました。 実は私の父は草なぎさんにお会いしたことがありました。 あるテレビドラマのロケーションに父の勤めていた会社が使われ、 父は草なぎさんにお目にかかってサインをいただき、大変嬉しそうでした。 亡くなる直前まで草なぎさんの娘さん役だった少女の役名を愛しそうに会話に上らせていました。 そうです、アルコール依存症というと一升瓶をつかみ前後不覚で手がふるえている人、 一時ものまずにいられない人、のイメージがありますが、 実際現在の依存症患者たちは、一見まともなのです。 私の父は亡くなる1、2ヶ月前までスーツを着てネクタイを締め、遅刻もせず出社していました。 父は「止めようと思えば止められる」「だから依存症ではない」と言っていました。 そして母も。 依存症かどうかの判断ラインは専門の本にかいてあると思いますので詳しく言いませんが、 私の体験したことを言うと、 まず、 お酒が原因で家族や友人など人間関係に支障をきたす出来事を起こした。(人を傷つけてしまった、心、体を含む) お酒が原因で仕事など社会生活に支障をきたす出来事を起こした。 お酒が原因で自身の健康、命に危険を生じさせる出来事を起こした。 などがまずあります。 草なぎさんの場合、1は知りませんけど、2と3は今回だけでも当てはまってしまいます。 4月とはいえ、冬のような寒い夜もあり、裸になってそのまま寝てしまっていたら、 翌日には冷たくなってしまっていたかもしれません。 草なぎさんは通報してくれる人がいて今回とてもラッキーでした。 続けます。次に、 今日は一杯だけにしようと思っていた(あるいは何時までにしようと思っていた)のに、結局そこでお酒を止めることができず、酔うまで飲んでしまった。 大切な人や身近な人に、もう飲まない、あるいは今日は飲まない、○○の日は絶対飲まない、 などと約束していたのに、約束を守れず飲んでしまった。 次の日具合が悪くなると思いながら泥酔するまで飲んでしまうなどです。 ↑こういうことがひとつでもあったら、アルコール依存症の可能性があります。 また、お酒の味が好きって言うより、楽しく酔うことが好き、っていうのも依存症の可能性が高いです。ストレス解消のために飲む、っていうのも依存症的です。 もうお分かりかと思いますが、酒量が一番の問題でもないのです。 お酒が強くて、好きでたくさん飲む人でも、↑上記のような項目に当てはまらない人、 はアルコール依存症ではないのです。 剛さんのまわりに本気で心配してくれるおせっかいな人がいたらいいと切に願います。 「早い復帰を」ではなく「この機会に病気の治療を」って思ってくれる人が。 進行性の不治の病、と書きましたが、直らなくとも進行をとめる方法がひとつだけあるのです! それはお酒を止めること。一滴も今日から飲まないことです。そしてこれからずっと、飲まないでしらふの人生を生きることです。 私は大切な人をアルコール依存症で失うのは嫌です。 父は死んでしまいました。最後は癌で、骨も解けて、激痛で寝たきりで、それは悲惨な最期でした。大学を出てから会社一筋で、家族旅行にもほとんどいかず、人生の楽しみはこれから、定年してからと思っていた矢先に。 子供の頃、酔った父と母の喧嘩が怖くて、夜が来るのが、父が帰ってくるのが怖かった。 大きな物音や声がすると、父が怒っているのでは?と怯えてしまう。 父が依存症だと確信していたけれど、母には言い続けてきたけれど、父に直接言うことは、 結局怖くて出来なかった。 父を見殺しにした、平均寿命が52、配偶者ありだと60前後の病気だと知っていたのに、 この一年気持ちに整理がつかずに、そう思いました。 父は怖い人ではなかった、「病気の人だった」 今は分かるけれど、やはり父と二人でいたり、会話していると恐怖感が消えませんでした。 実は父以外にも、私の身近な人がアルコール依存症なのです。 彼はある日自分が依存症だと気付きました。本も読んで、AA(アルコール依存症者の自助グループ。全国各地でミーティングが行われている。名無しのアルコール依存症者の意味。)にも行った。アルコール依存症として精神科に通院もしています。 その時から断酒を続けています。 私自身、依存症だと自覚することがあります。それは「共依存」といわれるものです。 依存症者を助けるそぶりで(本人には悪気なく)病を直さず、依存症者のまま、 飲み続けられるように助ける人のことです。 例えばこういう人、迷惑かけたところには謝りに行き、支払いをし、二日酔いで遅刻しそうな時には「体調が悪いので」と電話してやり、体を気遣って時には酒瓶を隠す、依存症者が依存症者であり続けられるように助けているかのような行動をしてしまう人です。 こうして共依存者の助けでちょこっと体力が回復した依存症者はまた元気一杯飲酒を続けられるのです・・・死ぬまで 私はアルコール依存症という病気だという病識を持って、しらふで生き続けている彼を誰よりも尊敬しています。 そして私自身もこの悪のループに気付き、「しらふで生きて」いられることに感謝しています。(まだまだだけど) この国はあまりにもアルコール依存を見て見ぬふりをしすぎている。 報道のあまりの偏り。 中川元大臣の事件の時、そして草なぎさんの今回、 誰もがテレビの報道に注目する時、たくさんの人に病気について知ってもらうチャンスの時に、 多くの人が今まで気付かなかったことに気付く機会に、多くの死ななくていい人たちを助けるチャンスのこの機会に、 「草なぎさんは病気です。アルコール依存症の疑いがあります。この機会に治療して本当の人生を取り戻して欲しいです」って言う人がなぜいないんだろう??? 思わず黙っていられなくて、こんなことを草なぎさんにつづりました。 草なぎさんの会見を見て、好感を持った方が多いそうです。 報道番組で新聞社の人が今回のことは事件ではなくちょっとした失敗です。と言っていたそうです。 私はあなたの会見を痛々しい思いで見ました。 あぁ、この人はまだ底をついていないのだ。この病気は大きな事件を起こし、窮地に立たされたときこそ回復の大いなるチャンスなのです。 それを「底つき」体験といい、回復のための大事なことなのです。 このまま、あなたをダメにしてしまう周囲の好意にのまれないで、と言いたい。 余計なおせっかいだけれど。 あなたと同じような悩み苦しみを抱えた人が他にもいる。 社会的地位を失ったって命があればいい。 乗り越えた人、むしろこの困難さを恵みに変えた人がいる、 どうかあなたが自助グループに、専門家に、繋がることを願い、祈ります。 ひとりではないです。私と彼とそして多くの、この問題で繋がった人たちと私は「本当の家族」だと感じられます。「ファミリー」って言ったほうが今っぽいかな? ひとりではない、 ただそう言いたい。 本当、おせっかいでゴメンナサイ。 では ここにリンクしようかな?と思ったけれどブログを読める人は自分で探せるので乗せません。AAやアラノン、AC、断酒会などのグループのミーティングは各地で今日も明日も開かれています。そこに来る人は誰も名無しの、無名のただのだれかです。 本だけ。 「家族」という名の孤独 男の勘ちがい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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