Home town～今日は何を作ろうかな～

夫が断酒すると宣言した。
数日前、まだまだ帰宅時間ではないのに帰ってきて
寝室に直行し、次の朝まで起きてこなかった。

夫はたまに体調が悪くなる。めまいが主な症状なので、
立っていられないらしい。
４、５年前初めてこのような症状が出始めてから、
あちこち病院に通ったり、ＣＴスキャンまで撮ったのだが
どこも異常なしだった。

あえて病名をつけるなら「メニエル病」らしい。
これ、完治する治療法がないらしく上手につきあっていくしかないという。

夫は小学生くらいの頃、原因不明の病気でほとんど病院で過ごしたという。
中学生になって、何が効いたかわからないが突然治り、
それからは時間を取り戻すべく、
いろいろなことに挑戦したと自慢げに話すのだが、
当時の食事制限の反動から不摂生まで覚えてしまった。

とにかく成人してからめまいを起こすまで、
特に酒に関しては不摂生の極みだった。
私と付き合い始めた頃から言うと実に体重は２０キロ増。
異常だと思う。
結婚してからしかわからないが、ほとんど毎日浴びるように酒を飲んでいた。
夫の会社が男性社員の多い体育会系なせいもあるのだが。

結婚当初から心配して、何度もお酒を控えるように進言しているのだが、
つらい闘病生活を味わったくせに一向に改善しようとしない。
これは私じゃだめだと同じく当時を知る夫の両親にも相談したのだが
親までもが不思議なほど

甘々。

夫と両親が揃うと決まって当時の闘病話が始まるのだが、
最初涙ながらに聞いていた私も今では内心、

ケッ。

ってなもんである。
そんなに大変な思いをしていて、何故揃いも揃って無頓着？
もし長男がこんな病気になったとして成人して無茶したら
私なら身体張って止めるぞ。

とまあこんな感じだったので
女性でいう更年期の時期に差しかかって、
一気にツケがまわってきた感じなのである。
最初脂汗を流して帰宅した日、やけに冷静な自分がいた。
感想は、

やっぱりな。

本人もやっと反省して、酒を控えるようになり、体調も良くなってくる。
そうすると、油断する。
再び飲酒。直後は調子が良いのだが、しばらくするとめまい。

この飲酒→めまい→断酒を繰り返して今に至る。

最近は飲酒期間の方で、正体をなくすほどになっていたので
そろそろくるぞと思っていたら、

やっぱり倒れた。
そして今回の断酒宣言。

もう、「はいはい好きにして。」と取り付く島を与えない。

「今度こそほんとだから。」

「はいはい。」

「信じてないだろ。じゃあ賭けてもいい。飲んだらペナルティつけていいよ。」

「じゃあ、あれだ。届けにサインするってことでどう？」

「届け？ってもしかしてあれ？」

「そうあれ。」

「それはちょっと・・・他のじゃだめ？」

あれとは、まさしく離婚届。
どの程度の決意かと思って言ってみたけど、
離婚届を賭けてうろたえるくらいなら、
今回の断酒も

もって数ヶ月。