Home town～今日は何を作ろうかな～

夫の帰宅がえらく早いことが度々重なり、
シャワーを一番に浴びてから、というパターンが何度かあった。
風呂水は防災対策として常に浴槽に張っていて、
湯張りする直前に栓を抜き風呂洗いすることにしている。

夫がシャワーを浴びている間に栓を抜いてくれることを期待したが、
いずれの時も、そのままだった。
夫はずい分昔、風呂洗いをしてくれたことがあったが、
最近では全くそういうことがない。
きっとちょっとしたことが助かる、という感覚は忘れてしまっていると
思われる。
ほんとは自分から気づいて欲しかったのであまり言いたかなかったけど、
一向に気づく気配もないので、

「シャワー浴びてる時にちょこっと栓を抜いといてくれると
助かるんだけどなあ。」とつぶやいてみた。

そうしたら、以後は抜いてくれるようになった。

その後帰宅がいつもどおりになったので、私が栓を抜いて風呂掃除する
という日常に戻った。
今日も夕食後栓を抜こうと風呂場に行ったら、

水がない。

夫は珍しく帰宅していたのだが、シャワーを浴びた形跡はなかった。
「栓抜いてくれたの？」と聞けば知らない、と言う。

傍にたたずんでいたのが娘。
もしかして・・・？

「うん、抜いといたよ。」といとも当たり前のように言う。

どうやら夫に向けた私のつぶやきを娘は聞いていたようだ。

その後バタバタしてすぐには風呂洗いができず、
やっと洗おうと風呂場に入れば、こんどは湯張りが完了していた。

「もしかしてお風呂掃除と湯張りもしてくれた？」と娘に聞けば知らない、と言う。
夫も違うと言い、「おまえもしかしてボケの始まりか？」などと言われる始末。
でも洗った記憶がない。ほんとにアルツハイマーの前兆かと怖くなった。

ありえない展開だが、念の為、長男にも尋ねてみる。
「知らないよ～。」

ますます不安になった。

「やっぱり私、物忘れ激しくなってきたのかも。」と悩んでいたら、

「うっそ！俺だよ。俺。風呂掃除したよ。」

長男の所業だった。長男が風呂掃除なんて頼んでも渋々なのに

今日はどうしちゃったの？

「ん～？なんとなくねえ。」

何も頼んでないのに、先回りしてくれた子ども達の気遣いは

感涙もの。