母と心理療法
心理療法を受けるには、集中力がけっこう大切です。自分の内面と向き合うのですから、もちろんですよね。私の母は91歳になりますが、昨年骨折し、現在施設でリハビリ中です。母はとても不安が強く、ちょっとした事で頭の中が真っ白になります。この母との関係を穏やかなものにしたいというのが、私が心理療法に興味を持った理由の一つでもあります。なので、時々母にセラピーをためしてみます。たとえば、母 「昨日電話した時、あなたがいなかったので、心配で心配で…」私 「そう、心配だったのね。 その心配って、体のどこかで感じるはずなんだけど」母 「そうなの? それで叔父さんにも電話して、話を聞いてもらったんだけど」私 「そう、それは良かったわね。それで体のどこが…」母 「そういえば、今日のお昼ご飯はね、○○でおいしかったの」私 「…そう、それは良かったわね…」(本当はもう少しやりとりが長いのですが、省略)解説。これは「フォーカシング」という心理療法を試みている所です。うまく行くと、感情を自分の体の一部に局在化させて、自分自身と切り離すことができます。母は練習台にはなってくれますが、効果はねぇ。集中力がないというか、セラピーを受けさせられている自覚がないのですから、仕方がないのかもしれません。でも、私は母に対して、けっこう批判的だったのですが、心理療法を学んでからは、私の気持ちがずっと楽になりました。これだけでも、心理療法を学んで本当に良かったと思っています。