趣向を変えてみる
今日から日記の趣向を変えてみることにしたよ。きいてる?さとみに言ってるのに。さとみは知らん顔をして眠っている。さとみというのはこの界隈を拠点に活動をしている猫のことだよ。とらねこでね、わたしがさとみと名付けたんだよ。はじめは女の子かと思ってね、だってさとみ、だんだんお腹ふくれてたじゃない?てっきり妊娠したかと思って。まさかいろいろなところでたらふくごちそうを食べて太っただけだなんて、思いませんよ。でもよく見たらつくもんついてたのね。見落とすなんて失礼だ?そうね、悪かったね。そんなわけでさとみは下の名前じゃなくて、名字なんだよね。今日もね面白いことがたくさんあったのに、忘れちゃった。わはは。こうやって忘れるから、きっと明日も明後日も同じことで面白いと思えるんだと思わない?思わない?あそう。別にぼけちゃいないけどね、さとみよりは大きい脳みそがあるしさ。毎日毎日変わらないように思えるけどね、毎日違う日を送っているのよ。さとみのこと太ったって分かるのも、さとみがたまに顔を出すからであって、毎日見ていたらそんなにすぐに太ったことには気付かないことと一緒なんだよ。日記を書いているとそれがよく分かる。5年前となんだか全然変わっていないように思えることもあるけど、‥ん?なに?老けた?うるさい猫だな。そう、変わってないように思えるけれど、5年後に日記を読むと全然違うわけよ。5年前っていったら、さとみと出会う前だ。それからわたしが6さいのころから一緒だった可愛いのらがまだ生きている頃だわ。ほら、これだけでもずいぶん違うわよね。出会いと別れを経験してないもの。それからそれから、あのとき使っていた本棚だってもうないし、そのかわり新しい本棚が来て、このりんごまーくのパソコンだって5年前にはなかったわよ。何がいいたいのかさっぱりわからないけれど、毎日は同じじゃないってことで、この日記も趣向かえてみたの。ねぇ、聞いてる?さとみはおおきな伸びをしながら、あっちへ行ってしまった。お前の話なんか聞いてられるか、こちとら生きるのに精いっぱいなんだいとさとみのお尻としっぽが語っていた。