『おんぶおばけ』
保育士試験の実技には、”目の前にいる20人の3歳児に物語を話す”というのがある。自作でもいいらしいのだが、童話を考える才能は無いので(←キッパリ)、「3歳児向け」と言われる童話から選ぶことに。候補は『はらぺこあおむし』『おつきさまってどんなあじ?』『おおきなかぶ』といったところだが、登場人物や登場アイテムが多いので、緊張している本番で、間違えずに言えるか不安になる。そこに、『おんぶおばけ』という候補が浮上。さっそく、取り寄せて読んでみた。森から聞こえてくる、こわーい声サムライも相撲取りも逃げていくそこへ、ひとりのおばあさんがとおりかかる「そんなにおんぶしたいならしてあげる」何かがどーんと背中に飛び乗ったおばあさんはひょろひょろ家に帰り着く迎えに出たおじいさんの前でおろしたら大きな甕(かめ)だった中から大判小判がザックザクなんだ、日本特有の”ご利益話”じゃないか!ん・・・まだ、続きがある。まだ出てくる太鼓、輪投げ、飴一本・・・そしたら「ばあー」ってあかちゃんがおにのあかちゃん!こどものいないおばあさんはよろこんでおんぶしてみんなでしあわせにくらしたってこの話はダメだ。私は、子どもが欲しい人に赤ちゃんができたり、養子を迎えて一生懸命育てているという話を聞くと、途端に首のあたりから涙が込み上げてしまうのだ。試験官の前で、緊張と感動で号泣してしまう自分の姿が容易に想像できる。