先日、奈良労働局において、今年作成した同一労働同一賃金に関する労使協定の指導、アドバイスをいただいてきました。
このタイミングで10月21日、厚生労働省は令和3年度に適用されることとなる「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」(以下、「一般労働者の賃金水準」という)を公表しました。
同水準は、前年または前年度の統計調査等を活用し、毎年6~7月に示されることとされていますが、新型コロナウイルス感染症による雇用・経済への影響を踏まえて今秋に示すこととされた結果、集計方法の変更等の対応が行われています。
具体的な対応の内容については、10月14日に開催された第308回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会において、次のように示されています。
【労使協議】
原則:直近の「令和元年(度)の統計調査等」を用いる。
例外的な対応:雇用維持・確保を図ることを目的として、職種・地域ごとに一定の要件(注)を満たし、労使で合意した場合には、「平成30年(度)の統計調査等」を用いることも可能とする。
(注)以下の(1)から(4)を満たす場合に例外的取扱いを可能とすることとされています。
(1)派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的とするものであって、その旨を労使協定に明記。
(2)労使協定を締結した事業所および当該事業所の特定の職種・地域において、労使協定締結時点で新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、事業活動の指標(職種・地域別)が現に影響を受けており、かつ当該影響が今後も見込まれるものであること等を具体的に示し、労使で十分に議論を行うこと。
(3)労使協定に、例外的取扱いを行う旨およびその理由を明確に記載していること。理由については、(1)の目的および(2)の要件で検討した指標を用いた具体的な影響等を記載することとし、主観的・抽象的な理由のみでは認められないこと。
(4)(1)の要件に係る派遣労働者の雇用維持・確保を図るために講じる対応策、(1)の要件に該当する根拠書類、例外的取扱いの対象労働者数等を、事業報告書提出時(令和3年度及び令和4年度)に都道府県労働局に提出すること。
【労使協定方式の基本的考え方の明確化】
・労使協定方式の趣旨を踏まえ、派遣労働者の長期的なキャリア形成につなげるため、現行の労使協定を基礎として、労使で十分に議論することが望ましいものとの考え方を示す。
・労使の議論の前提となる過半数代表者の選任手続きについても、取扱いを整理し公表する。
【一般賃金水準の示し方の変更】
・「直近の数値」に加え、参考値として「これまでで最も高い賃金の額(基準値)」を掲載する。
【一般賃金水準の集計方法の変更】
・過去3年分の統計値を用いて算出した賃金水準を一般賃金水準とする。
なかなか難しいですよね。