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テーマ:食べ物あれこれ(50316)
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飲みに行く時に焼き鳥屋というのはひとつの有力な候補だ。
貧乏学生しかり、サラリーマンしかり、お洒落系の店ならばカップルもアリだ。 私もそれぞれの人生のステージで数多くの焼き鳥屋に通った。 憧れの人、故・林美雄と一回だけ飲んだのも六本木の焼き鳥屋だった。 それが心臓を病んで東京を離れ当地にやってきてからは、飲みに行くという習慣がなくなった。 一時は1週間に4~5回は飲みに行っていた男が今や年間で4~5回しか機会が無い。 タバコの煙が漂う空間に耐えられないのだ。 但し家では毎日‘浅酒’を楽しんでいる。 当然、自宅が居酒屋化するが妻の負担は案外軽い。 食べる量や種類が以前とは比較できないほど減った。 それ以上に彼女を楽にするのは昼飯を食べに行った後に、運動のためにスーパーとかに 一緒に行って、そこでメニューを決めてやることだ。 先月の或る日、私が選んだのが鶏のハツだった。 昔は、うなぎ屋に行くと‘肝焼きありますか’と訊くように、 焼き鳥屋では‘ハツありますか’と訊く癖があった。 特に大好物というほどではないが、どちらも数が限定されていることが殆んどなので、 これを注文すると通を気取る事ができるような錯覚をしていたのかもしれない。 或いは‘すみません、おわっちゃいました’と相手に言わせることで、 ある種の負い目を感じさせられるという打算があったのかもしれない。 ハツは心臓のことだ。 英語のheartsが語源だと思っていたが、一部にはドイツ語のHerzから来ているという説もある。 私の人生を激変させたのは2000年の心筋梗塞、それによって心筋の約70%が壊死したが、 これが再生する可能性は無い。 そんな欠陥心臓を抱えていると否応なく心臓という言葉に関心は高まる。 ‘ハツを食べると心臓にいいぞ’とベタに誰かに言われても、 ‘おっ、わかってる、常識だよな’と返事をしたくなる。 だが焼き鳥屋に最後に行ったのはもう5年前ぐらいで、ハツには縁遠かった。 そこで急に食べたくなったのだ。 実は大昔、健康だった頃一度家でチャレンジしたことがあったが、 あの時はぽっこりしたあのまんまを焼いて大失敗、全然美味しく感じなかったことがある。 そこで今回は私が検索して焼き方を調べた。 本当に便利な世の中になったものだ。 何個か読んだが、このサイトが簡潔で写真も鮮明で気に入った。 問題の下処理についても分りやすく書いてある。 プリントしてかみさんに渡そうとしたが、そこであるものが目に留ったのだ。
ハツモトというのは過去に聞いたことが無かったが、 こんなキャッチーなことを書かれたらやるっきゃない。 というか気分的にはこの謎のブツの方が突如主役になった。 ハツの元の方で、白い脂身がまとわりついている。 調べても確信は得られなかったが、心臓に繋がる大動脈らしい。 そしていよいよ夕食。 ハツは捌いたことにより、プロの店のようなハート型になっていた。 う、うまい・・・(^。^) そして件のハツモトだ。 なにこれ、超うめ~、美味すぎる・・・(^。^) 脂分が実に良い感じで、食感も独特だ。 ハツと交互に食べると変化が有って良い。 砂肝大好き、レバーは駄目なかみさんと息子もこの‘初物’は気に入った様子だった。 ここ2週間で昨夜は4度目の‘ハツ・パーティー’になったが、 ブログで取り上げるのなら自ら経験してみようと、久々に厨房に入った。 ハツを上下に切り分け、ハツの方は包丁を入れて裂き、水で洗って血抜きをする。 その後氷水に入れた。 血といっても実は‘血栓’だった。 これを取り除かないと、また梗塞系の病気を発症しそうだな・・・(>_<) ハツモトの方も同様に水洗いする、細かい血管が見える。 思いの外あっさりと仕事を終えたが、久々の厨房は楽しかった。 これでも学生時代は時に手料理を女性に振る舞う腕が有ったナリポン。 この‘ハツ・パーティー’の材料費は約150円。 店によってはレバーと一緒にモツとして売っているが、ハツやハツモトを堪能するには ハツ単体のパックを探した方がいい。 鶏一羽から1個しか取れない心臓だけに焼き鳥屋では貴重なハツ、ハツモトはもっと稀少だ。 一部の店で提供しているところもあるようだが勿論数量限定。 メニューには載せず‘裏’で常連だけに出しているところもあるみたいだ。 それが自宅でやると、安い、美味い、数量限定なし。 前に紹介したふぐ白子焼きと違って通年で簡単に手に入るのも勝手が良い。 味付けはやっぱり塩だ。 これだけ何度もやってるから1本ぐらいタレにして‘試食’してもいいのだが、 そんな気がまったく起きないほど相性が良い。 一味や七味も不要。 強いて言えば、ハツの方には柚子胡椒か。 ハツモトの方は先ずは絶対素の味を楽しむべし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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