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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:文化遺産
先日ご紹介した通りペトログリフは絵文字か否かの論争は未だに決着がついていません。絵そのものの意義、意味、解釈についても諸説紛紛です。学会の大方の意見を無視してペトログリフの“意味を解釈出来た”と主張する考古学者が、学説に対する学会からの反証も待たずに、その学説を一般人用にわかり易くまとめた本を発行したりもしているので、結構混乱を引き起こしていたりもします。
私も含めて人間は「謎を解き明かす」という探究心ロマンに弱くて、「若しかしたら永遠にペトログリフの意義や意味は全解明されないかもしれない」という冷静かつ慎重な考古学者の意見より、「古代の謎が今解き明かされる」なんていうキャッチフレーズの方にどうしても関心が行ってしまいます。マスコミも後者の方を良く取り上げる上、慎重派学者による地道な反証は比較的無視される傾向にあるので、謎解き明かし派の説は既成事実のように一人歩きを始めてしまうのです。 もっとも意義や解釈などの「なぜ」の部分は不明でも、壁画が「なに」の絵なのか明らかなものがあります。前回ご紹介したアットラトルなど具象的な壁画です。そういった道具に加え、ペトログリフには野生動物を描いたものが沢山あります。比較的一目瞭然なのがビックホーン・シープで、それ以外にも前にここで紹介したコヨーテを始めとして、トカゲ、陸亀、マウンテン・ライオン、熊などなど、それぞれの地域に生息している(いた)動物達が登場します。 人物を題材としたペトログリフも多く、いかにも人間風なものから、“奇妙な”格好や姿をした人物画らしきものまで多種多彩です。“奇妙な”と書きましたが、西洋文明から見て奇妙なだけで、ただ単に伝統儀式に使用される装飾を付けているだけだったりもします。もっとも、伝統装飾着用だけでは説明出来ない、本当に不思議な格好の人物画が多々あるもの事実です。さらに民話などに登場する、伝説の動物や人物が描かれていることもあります。 私たち現代人はどうしても見た目にも様になり、「なぜ」がわからなくても「なに」がある程度わかる、具象的壁画に目がいってしまうのですが、数で言ったら幾何学模様などの抽象的ペトログリフが断然多いと思います。見た目がパッとしないのでつい見過ごしてしまうのですが、実は単純なペトログリフの方が時代的に古い確率が高く、考古学的価値が高かったりします。 [続く] 【写真】現代人に圧倒的人気を誇るビックホーン・シープのペトログリフ(左上)。地域によって角や肉付きの描き方が微妙に違ってきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 26, 2006 03:02:50 AM
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