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March 18, 2010
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カテゴリ:書評
昭和23年6月。
『人間失格』を書き上げ、人気絶頂にあった
小説家太宰治は愛人と共に玉川上水で入水自殺を遂げた。

この事実は芥川龍之介、三島由紀夫と並ぶ文人の自殺として、
周知のこととなっている。

ところで、太宰治と一緒に自殺を遂げた『愛人』とは
一体どんな人物だったのか。
その点について今までにない焦点を当てたのが本書である。


恋の蛍

太宰治を死に追いやった愛人だから、
芸者かホステスか、その辺りの世界の人なんじゃないか。

少なくとも、あまり育ちが良くないというか、
少なからず陰のある人物だったんじゃないか。

なんとなく、人は想像して、
その人山崎富栄に対し、
格段の興味・関心は抱いていなかった。

が、本書を読むと、
全然そんなことはなかったんだということがわかる。

彼女の父親は大正から昭和にかけて、
日本の裁縫・美容界のパイオニアとなる専門学校を
起こし、宮内庁御用達という名門の人だった。

彼女はその専門学校の後継者とすべく父親の期待を一身に受け、
朝ドラのヒロインのように明るく正しい女性に成長する。

がしかし、戦争が次第に彼女の運命を狂わす。

三井物産のエリート社員と結婚したまでは良かったが、
旦那は結婚式の一週間後フィリピンへ単身赴任。
着任と同時に激しい戦闘に見舞われ、あえなく戦死。

戦争未亡人となった彼女は方々を転々とするが、
そんな中、友人の紹介で太宰に出会う。

その時点では彼の本を読んだこともなかったのだが、
たまたま彼女の早死にした兄と
太宰が弘前の高校で同級生だったこともあり、
意気投合…

当時太宰には妻子がいることを彼女は知っていたが、
それだけでなく、
もう一人静子(『斜陽』のモデルとなった日記を提供した)という愛人との間に
娘が生まれていたことまでは知らなかった。

妻子と2人の愛人と更に子供を抱えた上、
アルコール依存症と結核で体は蝕まれ、
更には放蕩三昧の生活により、
印税で多額の収入があった為発生した
莫大な所得税も支払えなくなって…

という人生の八方塞状態になり、
太宰は自殺を決意。

以上に至るプロセスは、
彼女が遺した日記に詳述されているそうだが、
2人の死後、
それが正当な評価を受けることはなかったようだ。

確かに私自身、かつて別の本で
彼女が太宰の死神であったかのような記述を読んだことがある。

今となってはどっちでもいいのだけれど、
人の人生は本当に難しい。

努力は大事だけれど、
運というのは本当に馬鹿にならないのかもしれない。

人間の人生について、運命について、大いに考えさせられた。





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Last updated  March 18, 2010 04:22:06 PM
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