笑う門に福来る

会社に長くいると、
いや、そんなに長いなくても、
最低でも一度や二度、
場合によっては毎日でも普通に経験することを
私は全くしていなかったりする。

何らかの専門職として途中で入社された方は別として、
新卒の男性で百貨店に入社したからには
必ず通るべき道というものがある。

一つは『売場責任者』で
もう一つは『外商担当者』。

少なくとも入社１０年も経つころには、
そのどちらも経験している方が殆んどだと
私は認識しているし、たまたま何らかの事情があって
どちらかの経験が欠けていたとしても、
そのどちらも経験したことがないという方を
少なくとも私は社内で思い浮かべることが出来ない。

どういうわけだか、
私はそのどちらも経験せずに１４年目の春を迎えてしまった。

がしかし、
それ以上に恥ずべき未体験項目が私にはあった。

あるいは上記に関連しているのかもしれないが、
これに関しては、１０年といわず、
新入社員でもクリアしていて不思議が無かったのに、
何故だか経験することの無かったこと。

それは

『社用車の運転』だ。

別に自ら避けていたというつもりは無い。

運転免許証は持っているし、
決してペーパーというわけでもない。

がしかし、どういうわけか、
私はそれを一度としてすることなく、
これまでの会社人生を歩んできた。

がしかし、何事にも終わりはある。

というわけで、今日は会社に入って初めて
社用車を運転してきた。

用件は通信販売で
どういうわけだか全く関係の無いあべこべの商品が
あべこべのお客様のお客様あてに届いたというので、
それぞれのお客様宅に出向いて、
取り替えて差し上げるというもの。

お客様の住所は中津と馬場山。
前日に馬場山のお客様から間違っていたものを回収していたので、
それを中津のお客様にお届けし、
そこから回収したものを
改めて馬場山のお客様にお届けした。

何せ初めての経験だから、
恥ずかしいことばかりだった。
車にはナビが搭載されているので、
基本的には道の心配は要らないはずなのに、
ナビの扱い自体が初めてなものだから、
間違ってばかり…

都市高速で変な所で下りる羽目になってみたり、
目的地に着いているはずなのに、
微妙に道を進み過ぎて、
何度も行ったり来たりしてみたり…

帰りも、いつの間にやら違う道を通って帰っていたり…

お客様からひどいお叱りを受けるわけでもなく、
事故にあうわけでもなく、
無事帰還できたから、まぁ良しとは思うけど。

１４年目にして『初めてのお使い』。

まったくもって『今更』の話で、
出来ればもっと早い時期に経験するべきことだったとは思うが、
ようやく百貨店の社員の端くれになれたような気がした。

新しい部署に感謝である。