カテゴリ:観劇&コンサート
3回目のミハイル・プレトニョフである。
2年前は難解なオールグリーグプログラムだった。 今回は前半はモーツァルトのピアノソナタ第4番に ベートーヴェンのピアノソナタ第31番。 後半はモーツァルトピアノソナタ第10番に ベートーヴェンのピアノソナタ第32番。 二十歳前後のモーツァルトが書いた軽やかなソナタと 晩年のベートーヴェンが書いた後期ソナタ最後の2作品を交互に弾くなんて。 弾く方も聞く方も切り替えが難しい、普通ではあり得ないプログラムだ。 それを何事もないかのようにやってのけるのがプレトニョフの凄さだと思う。 モーツアルトを軽やかにさらっと弾いた後で、 重厚なベートーヴェンの後期ソナタをプレトニョフにしか弾けないやり方で表現する。 モーツァルトは前菜で、ベートーヴェンがガツンとくるメインディッシュだ。 今まで、アンドラーシュ・シフの弾く後期ソナタが最高だと思っていたが、 プレトニョフの弾くそれは全く別物だった! 31番の嘆きのメロディー部分はあえて歌い上げず、静かな悲しみなのだ。 晩年の耳が聞こえないベートーヴェンが作った曲はその方が似合うのかもしれない。 32番の2楽章終わりは天使が降りてきた。 終焉部のトリルの凄さたるや!こんなすごい表現のトリルは聞いたことがない。 アンコールはスカルラッティのソナタだった。 カワイのフルコンの音も最高だった!! カワイのフルコンの涙ものの高音の美しさの前にはスタンウェイは霞む。 日本のコンサートホールにはもっとカワイのフルコンを使ってほしいものだ! プレトニョフは正に妥協を許さない音職人だと思う。 今回もプレトニョフの音の哲学をひしひしと感じた。 必聴である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.06.17 02:00:08
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