紫金山・アトラス彗星【2】SOHOデータ 2024年10月7日
米国航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同運航する太陽観測衛星(SOHO:SOlar and Heliospheric Observatory)は地球を周回して太陽のコロナを観察しています。このSOHOには広角分光コロナグラフ(LASCO/C3:Large Angle and Spectrometric COronagraph experiment)が搭載され、太陽のコロナを観測しています。太陽を円盤で遮断し、円盤の周りに見えるコロナを観測しています。2024年10月7日から太陽のフレアなどが観察されるとともに、太陽の周りを横切る「紫金山アトラス彗星」が移動する姿が映っています。同彗星は太陽に近づき、2024年9月28日に太陽に最も接近する近日点を通過しました。その後、彗星は太陽から遠ざかりますが、太陽観測衛星SOHOや地球からよく見える位置に来ます。2024年9月下旬から10月最初の週あたりは、同彗星は明け方の低い位置で見ることができました。2024年10月7日から数日間は、SOHOのコロナグラフの中を同彗星が移動する姿が記録されました。この時期は地球から見て彗星が太陽に近い方向にいるため、姿を見ることができません。2024年10月13日頃からは、夕方の空に同彗星を見ることができ、日を追うごとに彗星の位置が高くなっていきますが、光度が徐々に暗くなっていきます。ーーーーーーーーーーーーーーーーーastropics (YouTube)↓ 画面中央は太陽の位置。画面左の明るい星は水星。↓ 太陽のフレアが広がる。 画面右に紫金山・アトラス彗星。↓ SPACE WEATHER PREDICTION CENTER(宇宙天気予報センター)NOAA : NATIONAL OCEANIC AND ATMOSPHERIC ADMINISTRATION(アメリカ海洋大気庁)COMET TSUCHINSHAN-ATLAS COMES INTO VIEW OF CORONAGRAPH IMAGERY.(コロナグラフに写った紫金山・アトラス彗星の写真)Flares, CME's (Coronal Mass Ejections), and a Comet Captured in SOHO.(太陽観測衛星SOHOによって撮影された太陽フレア、コロナ質量放出、彗星の写真)ーーーーーーーーーーーーー↓ 月刊天文ガイド 2024年8月号別冊付録C/2023 A3 Tsuchinshan・ATLAS紫金山・アトラス彗星が肉眼大彗星に!紫金山・アトラス彗星は、中国の紫金山天文台で2023年1月9日に発見され、同年2月22日に南アフリカのATLAS望遠鏡が独立発見しました。そのためこの2つの観測所の名前から、C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS)と登録されました。紫金山・アトラス彗星は、9月下旬~10月上旬は明け方東の空ごく低空に見えています。10月初旬~中旬にかけては、地球から見て彗星が太陽に近い方向にいるため、その姿を見ることは困難です。10月中旬以降は日没後西の空で姿が見えるようになります。晴れた夜空であれば、肉眼でもはっきりと長くて見事な尾が見える大彗星となることが期待されています。なお、この彗星は太陽系の外側に位置するはるか彼方のオールトの雲から今回初めて太陽に接近する彗星で、今後再び戻ってくることはありません。