カテゴリ:イタリア(ITALY)
ローマ皇帝ネロですが、妻のオクタヴィアを無人島に追放して、最後は殺害しました。そしてネロはポンペイに住んでいたことがある、サビナ=ポッパエアと結婚しました。
「ポンペイ・グラフィティ 落書きに刻むローマ人の素顔/木村凌ニ/中公新書」p130~134に、サビナ=ポッパエアの記載があるので、少し紹介します。 「ポンペイの市街地だけでも二つの豪邸を持つポッパエウス家。『金色のアモルの家』には列柱回廊に芝居用の仮面が飾られ、『メナンドロスの家』では数多くの銀製品が見つかっている。また、郊外のオプロンティスには別荘があり、そこには王宮を思わせるような豪華な装飾が施されている。この大富豪の家族にうわさに高い美女がいた。幸いなことに、彼女の彫刻が残存するので、その評判ぶりが偲ばれる。 ある家の壁には彼女に寄せた落書きが残されている」 「サビナよ、いつまでも花の盛りでいてくれますように。いつまでも美しく少女のままでいてくれますように。」(162)p131。 「首都ローマでもその美しさは人々の口の端にのぼらぬときはなかった。しかし、うわさは美貌にだけかぎられていたわけではない。歴史家タキトゥスの『年代記』は次のように語っている」 「ポッパエアは気高い魂を覗けば、女として欠けているものは何もなかった。すなわち、同世代の夫人を美貌で圧倒していた彼女の母からは、その評判の容姿をうけつぎ、財産の豊かさはその家柄の輝かしさにふさわしく、愛嬌のある話しぶり、機智にとむ才能、貞淑の仮面をかぶった奔放な生活、めったに外出しないし、するときはきまってヴェールで顔を隠していた。見る人の心をじらすためであったろうか。それともそれが本当に彼女に似合っていたためであろうか。彼女は世間の噂を少しも気にかけなかったし、夫と情夫の区別もしなかった。自分の愛情にも他人の愛情にも縛られず、利益となるとわかったら、いつでも誰にでも情欲を移していた」(年代記 第13巻45、国原吉之助訳) 「今やネロにとって妻オクタヴィアは邪魔者でしかなかった。しかし、彼女はがんとして離婚の要請に応じようとしなかった。ネロはオクタヴィアを無人島に追放し、殺害してしまう。それほどまでして、ネロはポッパエアを手に入れたかったのである。こうして、サビナ=ポッパエアはネロ帝に身を委ね、その妃となった」 「彼女の美貌は伝説のごとく語られる。『私の美しさが衰えるのを見るよりは死んだ方がましだわ』と言っていたという。 「あるとき、彼女は夫の遅い帰宅を大声でなじってしまう。そのとき彼女は身重だったにもかかわらず、ネロ帝は彼女を踵で蹴り殺してしまった」 ーーーーーーーーーーーーー 漫画「プリニウス/ヤマザキマリ/とり・みき/新潮社」を読むと、ポッパエアの事が詳しく描かれていますので紹介します。 ーーーーーーーーーーーーー 「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち【4】20/塩野七生/新潮文庫」で、下記記載があります。 p123「南イタリアの中都市の一つポンペイで地震が発生した。被害はたいしたことなく、国庫からの支援金に頼らずに、ポンペイ市の自力更生が可能な程度ですんだ。 だが、後から考えれば、ヴェスヴィオ火山の爆発によってポンペイとその周辺が埋没する16年後の大災害の、これが予兆であったのだろう」 p124「ポッペア・サビーナ(サビナ=ポッパエア)は、史上言われるような悪女ではない。「皇后」の称号も求めなかったし、要人の人事に口をはさむこともなかった。贅沢には眼がなかったが、それも国家の財政に影響するほどの浪費ではなかった。エジプトの女王クレオパトラが好んだという牛乳風呂を、まねした程度である。帝国の経済力は向上する一方であったので、皇帝の妻の女らしい浪費ぐらいではびくともしなかった」 ーーーーーーーーーーー ↓「ポンペイ・グラフィティ 落書きに刻むローマ人の素顔/木村凌ニ/中公新書」 p131 サビナ=ポッパエアの像。 ↑ 「サビナよ、いつまでも花の盛りでいてくれますように。いつまでも美しく少女のままでいてくれますように。」(162)p131。 ポンペイの落書きで、サビナ=ポッパエアを讃えた言葉。 ーーーーーーーーーーーーー 「プリニウス/ヤマザキマリⅡ/とり・みき/新潮社」 ↑ p173。 サビナ=ポッパエアがヤギの乳の風呂に入っている姿が描かれている。 ↓「プリニウス/ヤマザキマリ ⅠV/とり・みき/新潮社」 ↑p121 皇帝ネロとサビナ=ポッパエアの結婚式の様子。 ーーーーーーーーーーーーーーーー ↓ 「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち【4】20/塩野七生/新潮文庫」 ↑p124 ポッパエアについての記載 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.03.20 20:53:12
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