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2024年4月からスタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」ですが、伊藤沙莉さんが主人公の猪爪寅子(いのつめともこ)役をされています。
第5週では、寅子の父・猪爪直言(岡部たかしさん)など16人が収賄罪容疑で逮捕された「共和事件」を描いており、「ウルトラセブン」のモロボシ・ダン役だった森次晃嗣さんが貴族院議員の水沼淳三郎役で出演されました。水沼は検察の日和田(堀部圭亮さん)と共に倒閣に動きます。 最終的には裁判により、事件の16人は全員無罪となりました。 ーーーーーーーーーー テレビの「共和事件」ですが、歴史的には1934年の「帝人事件【ていじんじけん】」が元になっています。 「<日本の近代5 政党から軍部へ1924~1941/北岡伸一/中央公論社」p188~190に「斎藤内閣の崩壊」についての記述があります。第30代総理大臣・斎藤実【さいとうまこと】内閣の時に、帝人事件が起こり、斉藤内閣は総辞職しました。 一部を紹介します。 (p188) 斎藤内閣のもとで、満州国の承認、国際連盟からの脱退、アジア主事への方向転換など、いくつもの重要な転換が行われた。しかしそれでも全体として、斉藤内閣は、急激な変更を避け、現状維持を試みた内閣であった。 (p189~190) 同じ頃、帝人事件が起こりつつあった。武藤山治【むとうさんじ】(元鐘ヶ淵紡績【かねがふちぼうせき】社長で、かつて実業同志会をつくり既成政党支配の打破を訴えた)が経営する『時事新報』は、1934年1月17日から3月13日まで、実に56回にわたる連載記事で、帝人株をめぐる疑惑を取り上げた。それは、実業家郷誠之助【ごうせいのすけ】を中心とした政界サロン番町会【ばんちょうかい】において、いかに政界と財界が癒着し、権力を利用した不正を働いているかを「暴露」したものであった。とくにそこで批判されたのが、帝人株をめぐる不正行為であった。 帝人すなわち帝国人造絹糸【ていこくじんぞうけんし】会社は、鈴木商店の系列の会社で、その倒産とともに台湾銀行の系列に入っていた。(人造絹糸すなわち人絹とは、レーヨンのことである)。そして、人絹業が好調のとき、帝人の株を番町会グループが不当に安く買い入れたというのが、疑惑の核心であった。 問題は1934年2月から3月にかけて議会で取り上げられ、大きな問題となった。そして議会閉会後、4月から検察が動き出し、帝人、台銀関係者を検挙し、5月、大蔵省の黒田英雄【くろだひでお】次官を召喚、起訴するという事態となった。さらに大蔵大臣の責任も批判された。そして、鳩山一郎前文部大臣、三土忠造鉄道大臣、中島久万吉前商工大臣にまで検察の取り調べは及ぼうとしていた。ここに、斎藤内閣は7月3日、総辞職することになったのである。 しかし、のちに1937年の判決で、関係者は全員無罪となった。それも証拠不十分による無罪ではなく、事件はまったく根拠のない空中楼閣であったことが、裁判官によって明らかにされたのである。前代未聞のことであった。 ここで追及されたのは、すべて斎藤内閣を支えていた人物であり、政民提携派の閣僚であった。そして追及の背景には、倒閣を目指す久原房之助【くはらひさのすけ】があった。そして、斎藤内閣が倒れた場合のもっとも有力な首相候補は、平沼騏一郎だといわれていた。平沼みずからあるいは平沼の配下の検察が、政治的な意図を持って取り調べを行った可能性が高いのである。 ーーーーーーーーーーー ↓ NHK連続テレビ小説「虎に翼」で、主人公の猪爪寅子(いのつめともこ)役の伊藤沙莉さん。 ↓ NHK連続テレビ小説「虎に翼」 ↓ ドラマでは、「共和事件」として、寅子の父・猪爪直言(岡部たかしさん)など16人が収賄罪容疑で逮捕された。 ↓ 裁判官 桂場等一郎(松山ケンイチさん) ↓ 「ウルトラセブン」のモロボシ・ダン役だった森次晃嗣さんが貴族院議員の水沼淳三郎役で出演された。裁判官 桂場等一郎(松山ケンイチさん)を呼び止めた水沼淳三郎。 ↓ 貴族院議員水沼淳三郎役の森次晃嗣さん。 ↓ 検察の日和田(堀部圭亮さん)。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「<日本の近代5 政党から軍部へ1924~1941/北岡伸一/中央公論社」 ↓ p188 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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