カテゴリ:本、雑誌、記録
私が小学2年生の時、学校から家に帰ると、部屋に偕成社ジュニア版日本文学名作選60巻が置いてあったのでびっくりしました。私が読むであろうと母親が勝手に購入したものです。
当時は時間がいくらでもあったので、名作選を全巻繰り返して読みましたが、内容が難しいものもあり、なぜこのような小説を書いたのかわからない内容もありました。特に田宮虎彦さんの小説「足摺岬」は難解で、小学生の私には著者の意図が読み取れませんでした。 それでも学生時代は、全巻を何度も読んでいました。 私が社会人になり家を出た後、親が広島から山口に引っ越した時、全巻60冊は親が処分しました。 すっかり名作選のことを忘れていたのですが、30代の頃、子供を連れて最寄りの図書館に行くと、例の名作選が置いてあったので、とても懐かしく、早速田宮虎彦さんの「足摺岬」を読んでみました。すると内容が理解できたことに驚きました。他の名作選も読み直しましたが、人生経験が増えると、作者の気持ちを推測する力が増した感じでした。 仕事が忙しくなり名作選の事は再び忘れていたのですが、60歳が見える歳になり、急に「足摺岬」を読みたくなり図書館に行くと、偕成社ジュニア版日本文学名作選は石森延男さんの「コタンの口笛」を除き、全て廃棄されているとのことでした。「コタンの口笛」も開架されておらず、閉架書庫から取り出していただきました。 このような名作選は今では需要がないのかと思い、残念でした。 小学生の時、親が勝手に買った偕成社ジュニア版日本文学名作選60巻ですが、若い頃によくわからず読んでいたものの、結局社会人になって日本文学を読む機会もありませんでした。ところがこの歳になってみると、本のタイトルや作者名を知っているだけでなく、中身もしっかり読んだということが、自分の心の財産になっていることに気が付きました。 色々な本を読んでいると日本文学についての記載があり、自分も読んでいるので内容が理解できます。 私が爺さんになって時間があっても、多分全部読む意欲が湧かないのではないかと思います。 この歳になって、母親に感謝する次第です。 ー-------------- ↓ 偕成社ジュニア版日本文学名作選。 石森延男さんの「コタンの口笛」。 ↓ 原作を全文収載=小、中学生向 当用漢字・新かなづかい使用/注・解説つき 明治から現代にいたる文豪の名作、及び、ひろく世の感動を集めた作品の中から、若い読者にふさわしい作品を精選。 全国学校図書館協議会選定 1・7巻は必読図書。 ↓ 1)次郎物語(第一部)下村湖人、2)わんぱく時代 佐藤春夫、3)野菊の墓 佐藤佐千夫 ↓ 4)坊っちゃん 夏目漱石、5)二十四の瞳 壷井栄、6)羅生門・トロッコ 芥川龍之介 ↓ 7)しろばんば 井上靖、8)路傍の石 山本有三、9)熊犬物語 戸川幸夫、10)走れメロス・女生徒 太宰治 ↓ 11)ビルマの竪琴 竹山道雄、12)伊豆の踊子 川端康成、13)怪談 小泉八雲、14)山椒大夫・高瀬舟 森鴎外 ↓ 15)友情 武者小路実篤、16)ジョン万次郎漂流記 井伏鱒二、17)小さき者へ・生まれ出ずる悩み 有島武郎、18)末っ子物語 尾崎一雄 ↓ 19)吾輩は猫である(上)夏目漱石、20)吾輩は猫である(下)夏目漱石、21)次郎物語(第二部)下村湖人、22)真実一路 山本有三 ↓ 23)地獄変・六の宮の姫君 芥川龍之介、24)子供の四季 坪田譲治、25)恩讐の彼方に 菊池寛、26)母のない子と子のない母と 壷井栄 ↓ 27)ゆうれい船(上)大佛次郎、28)ゆうれい船(下)大佛次郎、29)悦ちゃん 獅子文六、30)武蔵野 国木田独歩 ↓ 31)次郎物語(第三部)下村湖人、32)三四郎 夏目漱石、33)コタンの口笛(第一部)石森延男、34)コタンの口笛(第二部)石森延男 ↓ 35)女中っ子 由紀しげ子、36)落城・小さな赤い花 田宮虎彦、37)藪の中・河童 芥川龍之介、38)哀しき少年 野上彌生子 ↓ 39)次郎物語(第四部)下村湖人、40)次郎物語(第五部)下村湖、41)こころ 夏目漱石、42)出家とその弟子 倉田百三 ↓ 43)愛と死 武者小路実篤、44)一握の砂・悲しき玩具 石川啄木、45)放浪記 林芙美子、46)パリに死す 芹沢光治良 ↓ 47)智恵子抄 高村光太郎、48)風立ちぬ・菜穂子 堀辰雄、49)青年・雁 森鴎外、50)天平の甍 ↓ 51)たけくらべ 樋口一葉、52)桜の実の熟する時 島崎藤村、53)鞍馬天狗〔角兵衛獅子の巻〕大佛次郎、54)性に目覚める頃 室生犀星 ↓ 55)姉妹 畔柳二美、56)草枕 夏目漱石、57)忘れ残りの記 吉川英治、58)福翁自伝 福沢諭吉 ↓ 59)舞姫 森鴎外、60)愛の詩集 編・解説 鈴木亨 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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