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カテゴリ:マンガ
以前にも、モーニング2で連載中のものを、 マジックに非凡な才能を見せる中学生・良と、彼に教えたマジシャンの孫・北條の物語。 硬質な感じの絵なんだけど、物語にすごく惹きつけられます。 北條はエリートサラリーマン(たぶん)なんだけど、良の自由な魂に惹かれ、なんとか彼を世に出そうとする。 良は重度の難読症のLD児なため、両親は彼を愛しながらも持て余し、学校ではずっとバカにされて来た少年。 作品中にも触れられているけど、ヴァージングループの創始者で会長のサー・リチャード・ブランソンが、すごくおもしろいアイデアマンの冒険野郎だけど、LDなんだそうですね。 (航空会社では、ヴァージン・アトランティック大好きです!) マジックの話も、良と北條の触れ合いも、魅力的な作品です。 とご紹介しました。 いつも掲載誌で読んでいますが、あらためて2巻を読みました。 2巻では、話題のスピリチュアル・カウンセラーのような手法のマジシャンが登場して、なかなか興味深いです。 学校からドロップアウトしていた良は、「1番安全」と思われる道を歩いてきた北條にとって、自分の果たせなかった夢みたいな面があるのですよね。 大好きだった祖父の技だけでなく魂を受け継ぐ者のように感じて。 でも、これは好意であっても、良を代償行為としかねない危険な面もはらみますよね。 良は、北條を信じて、北條の勧めることならやってみようとする。 でも、それは単純に従うのではなく、ある意味良の方が、絶望的なほど人の闇を知っている。 知っていて、あえて飛び込んでみようと思う。 小柄な少年が、時としてものすごく洞察力を見せ、自分の言葉で語り、自分の足で立っている。 そこに至るまでの、彼の日々を思うと、心が波立ちますが。 難読症についてですが、良はひらがながやっと読める。 それがどんな感じなのか、ビジュアルで見せてくれるコマがありました。 人類は、文字を持つことで得たもの、失ったものがありますから、良に関しても、文字に寄らない思考や記憶など、異能な部分があっても不思議はないですね。 作者がなぜ、マジックをテーマに選び、良を難読症としたのか。 この作品は、目に見えるものが本当に見たままでしょうか?あなたが今まで当たり前と思っていたことは、本当にそうでしょうか?と問いかけているように感じます。 予定調和とは程遠い展開の、この価値観の揺さぶりが、私にはとても心地よいのです。 これから、良がマジックで身を立てて行く時、競争を嫌う良の価値観とのぶつかり合い、そこに杉本さんは何を見せてくれるのか、期待しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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