中之島公園の猫たち-SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-

そろそろ８月も終わりに近づきました
心なしか風の匂いや冷たさが変わったように思う今日この頃です
この何日かは気温が下がり、とても過ごしやすかったのですが…
やはり今年の夏も、嫌になるくらいの暑い日が続きました
「猫の部屋」の仲間たちは比較的元気に過ごせたと思います
さすがに涼しい時と比べて、食欲は少し落ちてしまいましたが…

いつもなら、ご飯大好き
缶詰大好きな仲間たちですが…
「ほーら、ご飯だよ」
「よーし今日は先に缶詰だけをあげちゃおう」
目の前に開けたばかりの缶詰を置いても、知らん顔してダレている仲間たちもチラホラ
「みんな、あんまり食欲ないみたい…」
「暑いと食べるのが嫌になるのかもしれないね缶詰のフタを開ける音も威力がなくなったか…」

黒猫さんチームのヒュウマは、少し前からほとんどご飯を食べなくなりました
「ヒュウマ…アンタ、本当に痩せちゃったよ」
「よし、病院に行って先生に診てもらおうね」
元々、ヒュウマは少し偏食気味です。
缶詰よりもドライフードが好きなのですが、そのドライフードもあまり食べなくなって…
運び屋Tさんが病院に連れて行ってくれました
診てくださった先生によると、どうやらヒュウマは少し風邪気味だったらしく、その風邪のウィルスが悪さをして、今は少し歯肉炎を起こしているとのことでした
「歯肉炎があったら、食べたくても食べられないもんね」
「でも大丈夫だよ他には悪いところはないって」
しばらくお薬を飲んで、様子を見ることになりました

ヒュウマが久々のワンルーム生活になってから…
秘書たちはとても感動したことがありました
それは優しい悟空の姿にです

ありがたいカギ尻尾、不思議なことになぜか”ほふく前進”をしながら甘える悟空
ヒュウマと同じ黒猫さんチームです
気が付けば、その悟空がヒュウマのお部屋のそばにいるようになったのです。
ヒュウマが見えるところで横になって、まるで付き添っているかのような悟空

たまに悟空が呼びかけるかのように鳴くと、お部屋の中からヒュウマが小さな声で鳴いて…
悟空とヒュウマの様子は、本当に感動的でした

今は下のお部屋にお引っ越ししたヒュウマですが…
悟空は前を通りかかるたびに扉の前で立ち止まり、中をのぞき込んでいるそうです
「優しいな、悟空はいい看護師さんになれるぞ」
「…その調子で、ヒュウマにお薬を飲ませてくれれば嬉しいんだけど」
先日もヒュウマに怒られながら、注射器でお薬を飲ませた第一秘書はそんなことを言っていたそうです。

同じく黒猫さんチームのジジも少し食欲が落ちていました
毎日、仲間たちの様子が書き込まれている「猫の部屋」の連絡帳にも、ジジがあまり食べない、元気がないとの記入が多くて…
秘書たちも心配していました

ヒュウマ、ジジ、悟空は、バラ園にいた時からいつも一緒
「猫の部屋」に来てからも、ジジと悟空はツインルームで長い時間を過ごしました
ドミトリー生活になってからは、同じバラ園からやって来た白黒ぶち猫のキラちゃんも一緒になって、みんなで仲良く過ごしています
「ジジ、ほらご飯だよおいしいよ」
「今日は特別に”金缶”を開けたんだよ前も食べたでしょ」
目の前に置かれたご飯を見ても、あまり反応を示さないジジに、秘書たちはとっておきの缶詰をお皿に入れてみました

以前、ジジに出した時、お皿から一口ずつ、箱に持って入って食べていた缶詰
「ありゃ全部ジジが食べていいんだよ
お皿から食べたら」
後でSさんにジジの不思議な行動を報告すると…
「それはきっとおいしかったからですよ」
そう言って笑っておられました。

その時と同じ缶詰を開けて、ジジの前に置いたのですが…
ジジは箱の中からジッと見ているだけでした。
「やっぱり食べないのかなぁ…」
何気なく第一秘書はお皿を持って、ジジのお口近くに差し出してみました
すると…
第一秘書のお顔を見て、少し考えたようなお顔をしたあと、ジジはお皿の缶詰を食べ始めました
ゆっくり、ゆっくり、味わうようにして
時折、お皿を持っている第一秘書を見ながら、おいしそうに缶詰を食べているジジ
そんなジジの様子をを見ていて…
「何だかね、久々にジジがおいしそうに食べてくれて涙が出るくらい嬉しかったよ」
第一秘書はそう言っていました。


ジジは見事に缶詰を完食し、その様子をキラちゃんは大人しく見守っていました
ジジが食べ終わってから、第一秘書に甘えてきたキラちゃん
それに気付き、そばでお昼寝をしていた悟空もやってきました

「キラは賢いねジジがご飯を食べ終わるまで待っててくれたの」
最近はお返事もしてくれる、すっかり甘えたさんになったキラちゃんは、ジジを撫でている第一秘書の腕にスリスリとしてくれたそうです
その横で、相変わらず”ほふく前進”しながら甘える悟空
悟空が前に進んでいくお陰で、すっかり隅っこに固まってしまった３匹と第一秘書
しばらく隅っこで一緒に過ごしていたそうです

「ジジは私がお皿を持ってて、嬉しいって思ってくれたのかな」
「久しぶりに全部きれいに食べてたもんね」
「猫の部屋」の連絡帳にジジの様子を書きながら、秘書たちはそんなことを話していたそうです。
Sさんの話では、その後、何とかジジはご飯を食べているとのことでした

「もうお皿を持って食べさせなくても大丈夫なんじゃないの」
第二秘書にそう言われながらも…
こっそりとジジとヒュウマのご飯のお皿を持って、これからも第一秘書はご飯を食べさせることでしょう

『あっ
でもヒュウマは第一秘書がお薬を飲ませたから、まだ怒ってるかもしれないよ』
「…」