中之島公園の猫たち-SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-

本日、「中之島公園の猫たち」が６万アクセスを突破しました

前回、５万アクセス突破のご報告をさせていただいたのが７月３１日でした
まだ１ヶ月も経たないうちに、またこんなに嬉しいご報告ができることに驚いています
毎日、皆さんにご訪問いただいて、仲間たちのことを一生懸命に応援していただいて…
その応援のお陰で、ここまで来ることができました
本当にありがとうございました
皆さんの優しいお気持ちに、ただただ感謝するのみです

「今日ね、ウルトラの母に会った…」
「はっ何それ」
先日、第一秘書が突然、不思議なことを言い出しました。

空き時間に立ち寄ったショッピングセンター。
たまたま仲間たちの好きな缶詰が安売りされているのを見つけた秘書。
考えた結果、たくさん缶詰を買ったのはいいのですが…
袋の中でバラバラになってしまい、困った秘書は休憩所で整理することにしました。

ベンチに座り、猫缶を袋の中に並べて詰めていた時、
「いやぁ、仰山やなぁそれ何の缶詰」
いきなり声をかけられました。
振り返ると前のベンチに座っていた、おばちゃんがニコニコ笑っていました。

そのショッピングセンターの休憩所のベンチには、いつもたくさんの人たちが座っています。
特に買い物をする訳でもなく、何時間もぼんやり座っているおばさんやおじさん。
毎日来ているからか、そこで友達になったような人たちもお茶を飲んでいたりして…。
ちょっと立ち寄っただけの秘書のような人には、少し入って行きづらい空気があるのだそうです。
声を掛けてきたおばちゃんも、どうやら常連さんのひとりだったようです。
「これですかこれ猫の缶詰です…」
どうしようかと思いながら答えた秘書に、そのおばちゃんはすごく嬉しそうな表情で…

「やっぱり、そやなぁいやぁ、猫好きなんたくさんいてんの
お家の子なんそれとも野良ちゃんか」
あまりにも嬉しそうなおばちゃんの様子が気になって、秘書は聞いてみました。
「もしかして、猫好きなんですか」
その問いかけに、おばちゃんは今まで以上の笑顔で言ったそうです。
「そやねんおばちゃんな、すごい猫好きなんえ
それに猫が好きな人は、みんなええ人や、そう思てるねん」

そのおばちゃんは秘書に、とても可愛がっていた猫のお話をしてくれました。

昔、ご近所に猫７匹を置き去りにしたまま、突然いなくなったお家があったそうです。
猫好きが多い町内だったらしく、置き去りにされた猫たちが可哀想だといって、みんなで引き取って育てることにしたのだとか…。
それでおばちゃんのお家にやって来たのが、不思議な模様のある白黒のぶち猫。
元々は犬が好きで、猫を飼ったことのなかったおばちゃん。
最初は戸惑ったのだそうですが…
「白い顔にな、黒のぶちが入ってたんやけど…なんや面白い柄でな
その顔見た近所の人が”この猫、なんやウルトラマンみたいやなぁ”言うて笑わはって
そやからその子の名前、ウルトラになってん」

おっかなびっくりで一緒に暮らし始めたおばちゃん。
しかしウルトラは、猫の可愛さ、賢さ、素晴らしさを、すべて教えてくれたのだそうです。

ウルトラはすごく愛想のいい猫だったらしく、人見知りもせず、誰からも可愛がられていました。

「近所に居酒屋さんがあって、そこのママさんが”ウルトラを譲ってくれへんか？”言わはったんやけど…嫌や言うて断ってん」
でも、そのママさんはどうしてもウルトラを諦めきれなかったのか…
ある日、お散歩していたウルトラを店に引き込んで、そのまま帰してくれなかったのだそうです。

「帰してもらおう思て、店に行ったんやけど鍵掛かっててなぁ」

おばちゃんは、今思い出しても腹が立つと言った様子でした。
しかしウルトラはどうやったのか、閉じこめられた店から脱出して…
すごく寒い夜に鳴きながら、おばちゃんのお家まで走って帰ってきたのだそうです。
「帰ってくる途中に慌てたんかしらんけど、ドブに落ちたみたいでなぁ
ドロドロでえらいことになってしもて…おばちゃん、すぐにお風呂入れたんえ」
いつもならお風呂が嫌いで暴れていたウルトラも、その時ばかりは大人しく、ジッとおばちゃんに洗われていたそうです。

「猫は家につく、そう昔から言うやろ
もうひとつ、感じたことがあんねん」
「えっなんですか」
「猫は夢を見させてくれる…」
「夢…それは寝てる時に見る夢ですか
それとも希望とか願望の夢」
「そやなぁ…。どっちもちゃうやろか」

ウルトラと暮らしていた時、おばちゃんは夢をたくさん見たのだそうです。
それも昔の夢、若い頃に思い描いていた夢、楽しかった頃の夢…。
ウルトラがやって来るまでは、あまり夢も見なかったそうです。
「あの時の、あの夢は、ウルトラが見せてくれてたんちゃうかなぁ
ずっと忙しく働いてきて、夢を見る暇もなかったからなぁ…」
まるでそばにウルトラがいるように、おばちゃんは目を細めて話していました。
「”昔はこんなん思ってたやろ”とか”あの時は楽しかったやろ”
そう言うてウルトラが見せてくれたんや…。今でも、おばちゃんはそう信じてるえ」
何だかその時、涙が出そうになって困ったと秘書は言っていました。

秘書は仲間たちのことを少し話したそうです。

「そうか…。あの大きい公園にそんな仰山の猫がいたんやなぁ
猫は大事にしたら、人にようしてくれる
みんな幸せになれるのになぁ」
おばちゃんはしみじみとそう言っていました。

「長いこと話し込んでしもて、かんにんえ
公園の猫のこと、おおきになぁ
猫大事にしてる人に会えて、嬉しかったわ
体に気ぃつけて、おきばりや」
そう言って最後までニコニコ笑いながら、ウルトラの母は立ち去りました。

ウルトラの母のお話は、何だかほのぼの優しくて…
ちょっと切ない、不思議な物語でした。
「きっとウルトラとおばちゃんは、出会うべくして出会ったんだよ」
「うん、ふたりとも幸せだったんだろうね」

世の中には猫が好きな人もいれば、猫にはまったく興味のない人もいます。
「そこまで一生懸命になれるのは、なぜ」
秘書たちのまわりにも、そんなことを思う人たちもいます。
ただ…
興味のない人でも、ほんの少しのきっかけで考えが変わる人もいるかもしれません
ウルトラの母のお話を聞いて、そんなことをつらつらと考えていました

「猫は夢を見させてくれる…」
今、猫がそばにいない人にも、もしかしたらどこかに出会うべき猫がいるのかも
そんな出会いが訪れたら…
幸せで楽しい夢を、たくさん見させてくれるのかもしれません

「猫の部屋」の仲間たちにも、きっとどこかに出会うべき人がいると信じています
嬉しいこと、悲しいこと、いろんなことが起こる毎日ですが…
どうか「猫の部屋」の仲間たちを応援していてください
皆さんからの優しくて温かい応援が、仲間たちの元気の源です
仲間たちが夢を叶えられるように、これからも見守っていてくださいね
本当にありがとうございました

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　心からの感謝の気持ちに代えて…
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　    　中之島タキシード