中之島公園の猫たち-SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-

怖がりで、ビクビク
臆病な仲間がいるかと思えば
ゴロゴロ、いつでもフレンドリー
甘えん坊な仲間も多い「猫の部屋」

もし、皆さんが
「猫の部屋」にやって来たとしたら…

多分、この仲間は
とろけそうに可愛い声で
お迎えしてくれるでしょう

白黒、ウシ柄のキラちゃん
背中には、丸いボールを背負ったような
特徴的なぶち、ひとつ

小柄な彼女の最大の武器は
その甘い声
名前を呼べば、即座にお返事
甘えっぷりは、超大物

「キラ、元気だった」
「ちゃんと、ご飯食べてる」
『あっあーんあーん』

質問するたびに
適度なタイミングで返してくる
少しずつ変化がつけられた鳴き方
時には語尾を
上げたり、下げたり

朝いちばん
キラちゃんが待っているのは
秘書たちが、大ドミトリーに入ってくること

何とか、招き入れようと
手をかえ、品をかえ
次々と巧みな戦術を披露しながら
甘い声で呼びかけます

『あーんあーん』
「…」
「…仕方ない」

まんまと秘書たちが入ってきたら
キラちゃんの勝ち

足元をグルグル、8の字にまわり
つまずきそうになった秘書たちに
蹴っ飛ばされても、踏んづけられても
そんなの全然、気にしない

秘書たちが、キラちゃんを撫で始めると
手の動きに合わせるように
左へ、右へ
コロコロ、コロコロ

何度も何度も、転がって
最大級の喜びを
小さな体で、豊かに表現

「うーん、魔物だ…」
「…」
『あーんっ』

その姿に触発されるからか
そのうち、フクちゃんやシャムちゃん
悟空もトコトコやって来て…

我先に、甘えたい仲間たちが
押し合いへし合い
ごった返す、扉付近

「そこにいると出られないんですけど…」
「ちょっと、後ろ見て」

振り返ると、そこには
お腹を減らせた仲間たちが…

こうして、秘書たちのお当番の朝は
スタートします

キラちゃんは
なぜ、こんな甘えん坊になったのか

これは、今でも謎が多いです

公園で暮らしていた頃のキラちゃん
今のように、誰にでもフレンドリーな
甘えん坊ではありませんでした

ご飯をもらう時だけ
チラリと相手を見ながら…

『撫でてもいいわよ』

それ以外の時には
そそくさと立ち去ってしまうような
ちょっぴり高飛車なお嬢様だったとか

ご飯を持っていない時に
撫でようと、うっかり手を出そうもんなら
激しい威嚇と猫パンチ

『私に触らないでよ』

ずっとご飯をあげていたSさんでさえ
キラちゃんには、触れなかったそうです

その頃、唯一
キラちゃんが、心を許していたのは…

彼女をべっぴんさんと呼び
とても可愛がってくれたホームレスさん

ご飯以外の時間は
いつも、おじさんのお膝に乗り
他の人には見せないような表情で
甘えていたそうです

ご飯やお掃除で
ワンルームに手を入れるたび
容赦なく飛んでくる、猫パンチ

どうすれば仲良くなれるだろう…

キラちゃんが「猫の部屋」の生活をスタートさせた頃
いつも、秘書たちは考えていました

それが、今では…

「あれは、ホントにキラだった」
「違う猫だったかな」
『あっあーん』

変化のきっかけは、いくつかあったけれど…
ここまで劇的な方向転換をするとは
誰が想像できたでしょう

ちょっぴり高飛車なお嬢様から
怒ってばかりの頃を経て
三番目に見せてくれたお顔は
人が大好き、無邪気な甘えん坊

まだまだ、大きな変化があるかも…

秘書たちは、ちょっぴり期待しています 

そんなキラちゃんが
毎回、お当番の日に
虎視眈々と狙っている場所

それは…
第二秘書のお膝

あくまでも、第一秘書のお膝ではなく
第二秘書のお膝
ターゲットは、第二秘書

『あーんあんあーんっ』
「あ、また乗るの」

お掃除中であろうと
カメラを構えている時であろうと
第二秘書のお膝、小さなお手々をかけて
あの、とろけそうな鳴き声

あぐらをかいた第二秘書のお膝
ど真ん中で、クルリと丸くなったら
満足そうな様子

「何でここがいいの」
「私、何となく、理由わかる…」

第一秘書と第二秘書の違い
それは、ふたりの座り方

正座か横座りの第一秘書とは違い
第二秘書は、いつもあぐら

足を組んだ凹みに、はまり込み
クルンと丸くなる姿勢
きっと、キラちゃんには
これが落ち着けるのでしょう

もしかしたら、それは…

公園時代、あぐらで座るおじさんの
お膝に乗っていた遠い記憶

子供の頃から慣れ親しんだ
優しい記憶に
繋がっているのかもしれません

「だから、乗せてあげて」
「でも、後頭部ばかりの写真になるけど…」

「中之島公園猫対策協議会ＨＰ」 info@nakanoshima-cats.com
「中之島公園の猫たち」 nekomat@nifmail.jp
 

我が家では私も先住のお兄ちゃんたちも
第一秘書のお膝には乗りますが、第二秘書のお膝には乗りません
唯一、乗ってくれるのがキラちゃん
お掃除がとか、写真がとか言いながら
実は、こっそり大喜びしている第二秘書でした

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