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テーマ:「ありがとう」(53)
カテゴリ:エピソード
子供の頃 私は、ひまわりの花を 少し怖いと思っていました 色鮮やかで、吸いこまれそうなほど大きくて 不思議なカタチをした花 初めて、実物のひまわりを見た時のこと とてもよく覚えています それまで知っていたのは 絵に描かれたひまわり けれど、実物のひまわりは 今まで自分が知っていたものとは まったく違うものに見えました 自分の背と同じくらいのひまわりが 同じ方向を向いて 何本も並んでいる風景 あの大きな花が いっせいに自分のほうを向いて 見つめてきたらどうしよう… そのまま、歩きだしたらどうしよう… そんな、ありえない想像をして 怖くなったのだと思います けれど、今思うと… あの時、感じた怖さは 単純な恐怖ではありませんでした 他の花なら、すぐにしおれてしまうのに 夏の厳しい日差しにも負けず 真っ直ぐに成長していく、逞しさ すぐにでも動き出しそうに思えたのは その強い生命力を感じたから… 子供だった自分の「花」という概念を ひまわりは、見事に覆しました 今の自分には、到底敵わないくらい 大きなチカラがある花 それは、怖いと感じるほど 心を惹きつけるものでもありました 「少しずつ思い出すことも少なくなるだろうか…」 二年前の今日 横たわる彼女を見ながら 私は、ぼんやりと そんなことを考えていました けれど、あれから 時間は経っているのに なにも変わらない… 彼女と一緒にいた時間は 今でも、色あせることなく なにも変わっていないのです 出会った日のこと 妹や弟と仲良さそうに過ごす姿 好きだった缶詰を 嬉しそうに食べてくれた日 おもちゃで一緒に遊んだ日 怒った顔、寂しそうな顔 穏やかな顔… 点滴した日、輸血を受けた日 カラーを巻いた入院中の彼女 そして… 初めて、彼女の背中に触れた日 抜けるほど白くて 冷たかった耳と手足 何かを伝えるような強い瞳… 私の頭の中に浮かぶ彼女は… 楽しい時も、悲しい時も つらくて、苦しい時も 顔を上げて、真っ直ぐ立っている 凛とした姿ばかりです それは、すべて 愛してやまない彼女の 一生懸命に生きてきた姿 強くて、逞しくて まるで、あのひまわりのような… 私は、今もなお 彼女の持つ大きなチカラに 魅了されているのだと思います 今日は、彼女… ふさこの命日でした 今年は、少し早かったけれど 土曜日に剣先へ行きました もちろん、ひまわりを持って… 彼女がいる場所 橋の陰になった位置から 川を眺めました とても暑い時間帯でしたが 風が吹いたら、少し涼しくて 剣先の尖端にある噴水の下には きれいな虹が見えました 船が行き交うごとに 川面に波が立ちました 小さな波に揺られて 流れていく、ひまわり それを楽しそうに追いかけていく 彼女を想像したら ちょっと切なくなりました けれど… もう二度と 目に見える姿で会えなかったとしても 手に温もりを感じることは できなかったとしても… かけがえのない思い出と いつでも彼女を感じられる場所がある 私は、とても幸せだと思っています ありがとう ここにいてくれて… いつも、そばにいてくれて… 「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp 土曜日の昼下がり、公園はとても暑かったです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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