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テーマ:猫の気持ち(26)
カテゴリ:野良猫
「猫の部屋」に暮らす仲間たちは 全員が大人猫 ほとんどの仲間は 公園で大きくなった子です かくいう私、タキシードも 公園で育った中の一匹 正確にいうと… 公園で生まれたのかはわかりません ただ、物心ついた時には あそこにいたのです 生まれつき片目がなく 身体も小さくて弱虫だった私 そんな私が成長できたのは たぶん、おかあさんが ちゃんと育ててくれたからなのでしょう おかあさんの顔も 匂いも、体の温もりも なにもわからないけれど… きっと、私は おかあさんが大好きだったはずです この世に生まれて いちばん最初に出会い 無条件に愛情を注いでくれる 優しいおかあさん 子供はみんな おかあさんが大好きだから… 外での子育てが あんなに大変だと知ったのは 自分の子供を持ってからでした 初めて授かった子供たちは 言葉にできないほど、愛しくて 仕方がなかったです けれど、新米おかあさんの私には 毎日、きりきりまいするほどの忙しさで 戸惑うことの連続 それでも頑張れたのは 子供たちへの愛情と 一緒に暮らしていた仲間たちが 助けてくれたからです 私より少しあとに 出産したのがみさえちゃん 彼女は何度目かの出産でした その子供たちが 「中之島公園の猫たち」最後の子猫 最後のおかあさんがみさえちゃんです あんなに気が弱くて、怖がりで いつも控え目な彼女だけど 子供たちを守るためなら どんなに強い相手にも 小さな体を盾にしていました その姿は、強くて逞しくて 優しさのかたまりみたいでした とても素敵なおかあさんだったみさえちゃん けれど、あの時の彼女を思い出すと 少し胸が苦しくなるのです 今、みさえちゃんは お当番さんたちから可愛がられて 「猫の部屋」で過ごしています 相変わらず、気が弱いし 怖がりで控え目です けれど、とても優しい顔つきになりました 食べることが好きで おやつもしっかり食べているのに いつまでたっても小さくて… 時々、まだ子供なのかと 思われるみたいだけど みさえちゃんが おかあさんだった頃を知る秘書たちは 「若作りだね」と笑います 人間には戸籍があるけれど 私たち野良猫には、なにも記録がありません 野良猫のおかあさんが どこで、どんな子供たちを どれだけ生んで、育てたのか そして、その子供たちが どう成長したのか その時、その親子に 関わっていた人にしかわかりません 私の仲間たちの中でも 親子関係がわかっているのは たった4匹のおかあさんたちだけ タエちゃん、タミちゃん そして、みさえちゃんと私 あとは何もわからない 誰も知る人がいないのです あの頃、体調を崩した子供たちを 救おうとしていた人がいることも知らず… 私は、突然いなくなった子供たちを 半狂乱で探し回りました そして、みさえちゃんは 最後の最後まで、子供を離さず 必死に逃げ回りました けれど、今… みさえちゃんも私も 自分の大切な子供たちが どうしているのかを知っています どの子もみんな 見違えるほど立派になって 大切に可愛がられて… とても幸せだと思っています けれど、みさえちゃんや私のようなおかあさんは そう多くないのでしょう それが、とても悲しいです 命がけで生んで育てたのだから おかあさんだって いつまでも子供は可愛い いつまでも愛しくて 大切な存在なのだから… 「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp 当たり前のことなのですが… 今、この世に存在するすべての命には その命を生み育てた母親がいます 人でも猫でも母と子の結びつきは特別深いです けれど、私たち野良猫の場合 誰かに望まれ、祝福されて子猫を生むことは ほとんどありません だから、関わる人たちも あまり意識せずにいることは多いし 忘れてしまうこともあるのかもしれません けれど、もうこれ以上 不幸な命が増えないようにと願い 彼らに関わるからこそ… 今、目の前にある一代限りの命の重みと その命を守り抜いた母猫のことを 忘れずにいようと思うのです 猫ボランティア・保護活動ランキングへ 人気ブログランキングへ ブログランキング参加中いつもたくさんの応援ありがとうございます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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