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テーマ:猫のいる生活(139075)
カテゴリ:日常生活
お当番の日 朝、扉を開けたとたん いつも秘書たちが目にするものは ズラリと並ぶ仲間たちの顔 おそらく、その日いちばんの喜びよう 出迎えてくれる仲間たちは それぞれ棚の上などで ネットに顔をすり付けたり 甘えた声で鳴いたり キャットウォーク上を コロコロ回転する子もいるから 秘書たちは、ついつい視線を上にしがちです けれど、少し視線を下げてみると… 「あ、今日もいたね」 「おっはよー」 部屋に入ってきた秘書たちを ケージ越しに見ている小さな顔 出会ってすぐの頃は 目があっただけで体を強ばらせて 箱の中に飛び込んでいたけど… 今はもう、そんな姿はありません 差し出す指の匂いをかぎ 秘書たちの目を真っ直ぐに 見つめ返せるようにもなりました 彼女の名前はれん 「猫の部屋」で暮らすようになって 2ヶ月が過ぎました 少しずつ、れんは 今の環境を受け入れて歩き出しています おそらく、れんも 「猫の部屋」にいる大半の仲間と同じで 人との関わりがないままに生まれ育った子です とにかく、最初は 人の姿が見えるだけで怯えていました 少し近くに寄ると どんどん呼吸が速くなって ガタガタと震えだしていた彼女 姿を隠して、息をひそめながら いつも、こうして恐怖を抑えこんできたのだろうか… 外での厳しい暮らしぶりが 垣間見えるような姿に そう感じて苦しくなりました 「猫の部屋」に来た直後は 人がいると、ご飯も食べられず トイレにも行けず 熟睡することもできなかったけれど… 少し経った頃から れんは威嚇するようになりました 目をつり上げて、鼻にしわを寄せながら 大きな口を開けて… --- シャー、シャー --- けれど、実は 威嚇するようになった彼女に 秘書たちは少し安心したのです 確かに、怒るのは 怖さの裏返し けれど、突き抜けてしまうほどの 怖さを感じてしまうと 猫は、威嚇すらできません 声も上げず、体を動かすこともできず その場に固まったまま 震えているしかないのです けれど、自分は こんなにも怖いのだと こんなにも怒っているのだと 言っているのなら… どこかでわかりあえるかもしれない 可能性はゼロじゃない もちろん、威嚇の中には いい意味の気持ちは含まれていないでしょう けれど、どんな意味であろうとも 自分の気持ちを前面に出して 伝えようとしてくれるのなら… それは進歩だと 秘書たちは言います 一生懸命、伝えてくれた気持ちを ひとつずつ拾い上げて ひとつずつ理解していければ 一緒に歩いていくことはできるのだから、と… 「今日も遊びますか」 「きらきらボール、猫じゃらし、何がいい」 --- パッ、パンッ --- 「ふふっ、れんは上手なんだね」 「なんか懐かしいな…」 威嚇するようになってから 彼女には、もうひとつ 技があることに気付きました 口を大きく開けて 空気を押し出すようにしながらの破裂音 れんは、空気砲を打つ子でした 空気砲は、誰にでも 打てるものではないと思います 仲間たちの中で空気砲を打てたのは 過去に、たった1匹だけ 6年前に亡くなった拓夢だけでした 体に合わせてか 彼女の空気砲は少し小さめの音 もちろん、れんは怒っているのだけど… とても可愛らしくて ちょっと懐かしい空気砲に いつも秘書たちは笑ってしまうそうです 2ヶ月と少し、一緒に過ごして 秘書たちは、れんが一生懸命伝えてきた気持ちを いくつも受け取ってきました 威嚇して、空気砲を打ちながら ご飯を待つようになり おやつを食べてくれるようになり 一緒に遊べるようになって… そして、最近は 秘書たちが体に触れるのを ほんの少しだけ許すようになった彼女 「ちょっとずつ…ね」 「うん、ゆっくり…ね」 今、秘書たちは れんと一緒に歩いていることを ちゃんと感じています 「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp 【おまけ動画】 「これ、撮影者だけが焦ってません」 「…面目ない」 れん、リラックスしすぎですね 猫ボランティア・保護活動ランキングへ 人気ブログランキングへ ブログランキング参加中 頑張るれんに応援よろしくお願いします いよいよ明日から劇場公開 映画「みんな生きている~飼い主のいない猫と暮らして~」 明日9月27日(土)の初日には 「猫の部屋」司令塔Aさんが泉監督とのトークショーに出演します 詳しくはこちらのお知らせをご覧ください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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