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テーマ:猫のいる生活(138971)
カテゴリ:日常生活
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決戦の土曜日 普段よりも、かなり早めに 「猫の部屋」に到着した私と第二秘書を 猫たちは何の疑いもなく迎えてくれました そして、やはり何の疑いもなく いつも通りに朝ごはんを食べました ただ、ちょーっとだけ普段より 量が少なめだったことに 不満そうな顔をする子もいましたが… そこは見ない振りして 普段通りに作業を開始した私たちに やはり猫たちは何の疑いも持たなかったと思います そして、朝ごはんから3時間 お腹も少しはこなれたはずの正午過ぎ 気温30℃を超えた中 私と第二秘書の負けられない戦いが 本格的にスタートしました 今回、Aさんが全員分かき集めたのは スポットタイプの駆除薬 保護直後、壁や屋根もなく外同然だった 一代目、二代目の「猫の部屋」 そして、今の三代目の「猫の部屋」に引っ越す直前 名前の通り、革命を起こしてくれた薬 首と背中の付け根あたりの毛をわけて 皮膚に直接、ピュッピュッと薬を垂らして終了 薬を開けるところから考えても この間、ほんの何秒かの話なのですが… 私たちの予想では おそらく、その何秒間かの間 じっとしている猫は2匹 もちろん、首や背中を撫でさせる子は 今はもっと多いです ただ、普段と違う指の動きになっただけで 警戒するはずの子は多数 自分の見えない背中で 何やらごそごそされるなどもってのほかと たぶん、すぐに動こうとするはずです 全16匹をレベル1~10に分けると 1~4までの猫、片手ほど 残る約10匹は全員レベル6以上 そして、その中の半数は 私たちも覚悟が必要なレベル10… 絶対に負けられない戦いとはいえ 私たちがスタートからどんよりしたのは いうまでもありません まずは、小手調べ レベル1の2匹を呼び寄せ 久しぶりの感覚を思い出すべく開始 部屋に入っただけで寄ってきた 黒いボス猫と困り顔女子を撫でながら ポケットに入れた薬を取りだし まずは、ボスに滴下 次に、困り顔女子の背中を撫でていると うろちょろしながら割って入るシマシマ模様 8年目にして、まるで突然変異の如く 甘えたへと豹変した彼です しかし、私たちは彼を レベル2に仕分けしていました それには訳があります ちょっと撫でるだけで 毎回、全身で喜びを爆発させてしまうため 動きすぎて、たぶん手元がぶれる だから、ひとりが正面から撫で続け ひとりが背面にまわって滴下 完了してからも、口々に いい子だとか、お利口だとか 褒め称えました ちやほやされるのが大好きになった彼に この作戦は効果てきめん その後、難なく困り顔女子もクリアし レベル1と2の3匹は全員 取扱説明書のお手本のように完了しました 完璧な仕上がりに自画自賛しながら 私たちは次の標的へ ボス猫について歩く 大きないちばん弟子と その双子のような大きな白黒はちわれ 2匹の大きな背中を交互に撫で 試しに指で、すすす…と毛をわけてみたら どちらも動かず 指の動きが気持ち良かったのか 大人しくそばに座ったので 素速く薬を取りだして滴下完了 やはり完璧、お手本通り 昔なら、こういう時 この弟子は、いちばん高い場所にのぼって 言葉では言えない爆弾を落としたりしたのですが… 完了後、気持ちよさげに撫でられている 弟子のふかふかした顔をみて その成長に感動を覚えたりもしました ここまでハイスピードの楽勝モード しかし、調子に乗りそうな気持ちを戒めるため ここで高レベルな子を試すことに とにかく、ボスのいちばん弟子が 好きで、好きで、大好きで… 抑えきれない愛情をぶつけてしまい いつも逃げられているキジ猫女子にトライ もちろん、こんな時はいつも 弟子のあのふかふかした顔の真横に 彼女の顔があるわけです 弟子を撫でながら 彼女の背中にそっと触ってみても 少しくらいなら気にしない しかし、彼女だけに触ろうとすれば… 怖い顔での威嚇と鋭いパンチ そして、目にもとまらぬほどのダッシュ これを同時に行ってしまうという強者です とにかく、難易度が高いケースでも 小手調べは必要ですから… 彼女が弟子を見つめている隙に 頭から洗濯ネットをかぶせてみました …もちろん 結果はご想像の通り 洗濯ネットを突き破りそうな勢いに怯まず 頭にタオルをかけ、動きを止めて しっかりと床で保定 洗濯ネットの中に手を突っ込んで 首の後ろの毛をわけて 慎重に皮膚へと薬を垂らします 以前なら手を突っ込んだ瞬間に 血だらけになる状況ですが 無傷のままで無事完了 その間、やはり10秒かからず すぐにタオルと洗濯ネットを外すと 一瞬、彼女は不思議そうな顔をして すぐに威嚇しながら逃げて行きました たぶん、あのままキャリーに詰められて 外へ連れて行かれると思っていたのでしょう なんとなく、肩すかし感が見えた顔 なかなか可愛かったです そんなことを思っていた時 目が合ったのは… いつもアンニュイな雰囲気を漂わせている ママさんのような彼女 彼女がいたのは棚のいちばん上 大きな目で私たちから視線を外さず とあるテレパシーを送り続けていました 『ごはん、たりません…』 今しがた床で繰り広げられた状況より 空腹であることのほうが一大事なのでしょう こと、ご飯やおやつに関しては 一歩もひかない彼女なのです 近づいても動かず 目の前に顔を近づけても逃げない 何センチも離れていない位置にある彼女の顔… 静かにたたずむ彼女を見ていたら これはいけるんじゃないと思ってしまうのは 人間の浅はかさでしょうか… それとなーく、背中に手を回そうとしたら まだ、ほとんど腕すら動いていないのに 気配を感じたのか、ぴょんと飛ぶ しばらくおいて また、そーっと背中を狙うと ぴょんと飛ぶ 何度か繰り返してみましたが とりあえず彼女を落とすのは一筋縄ではいかないと 私たちは、一旦諦めることにしました ママに振られた気分を変えるため 茶白きょうだいの部屋へ移動 隣の様子を見ていたはずなのに 天然すぎる長男とマイペースな次男は あまり抵抗せず、箱の中でクリア ちょろちょろと落ち着きのない末っ子は 確実に走りまわると予想されたため 箱に入ったところで洗濯ネットをかぶせて捕獲 末っ子は、レベル10 おそらく、へとへとになりながら 完全捕獲になると思っていたのですが… 洗濯ネットをすっぽりかぶせただけで 驚くほど大人しくなったので ゆっくり背中の毛をわけて滴下 ついでに、普段は撫でさせてくれない子なので ここぞとばかりに撫でまくりましたが とても大人しく、箱座りしながら無抵抗でした 長男や次男を撫でている時 いつも遠くから見ている末っ子 素直になれない、あまのじゃく やはり、今回の様子を見て 自分も撫でられたい願望はあるのだろうと あらためて実感しました その後、ふたたび 大部屋に場面を戻しての攻防 すでに楽勝ムードなどありません 残っているのは、過去に何度も 激しい戦いを強いられた面々 しかも、すべて女子です 昔から「猫の部屋」では女子が強く 何人もの怪我人を出し 病院送りにしたのは、ほとんど女子 すでに、この時点から 完全捕獲体制で臨んだ私たち 過去には、あまりの激しさに 彼女のケージの扉すら開けられない人もいた 小さなキジの姐さん おそらく、現時点では いちばん手強い2匹のうちの1匹 茶白きょうだい唯一の女子 とにかく、あまり走らせないように 躊躇せず、頭から洗濯ネットをかぶせて 動きを封じ、薬を滴下することに集中 ちなみに、また紹介する予定ですが 昔なら、確実に無傷ではいられなかったはずの 小さな体の大御所が見せた変化に感動したり 可愛い顔には似合わない鼻息の荒さは 今も昔もまったく変わらない サビ猫女子の保定に苦労したり レベル10と予想した通り ややこしい場所ばかりを上へ下へと走り回る ヤンチャすぎる新入りに手こずったり… ほぼ無言ながら、同じ行程を繰り返し 狭い部屋の中をくるくる動き回っての連携プレイ チェックシートに完了時刻を記入するたび 何だか妙なハイテンションにもなってきました すでに、時刻は14時過ぎ さすがに、じわじわと腕や足や腰に 乳酸が溜まってきたのを感じる私たち そこで、また感じる視線 『やっぱり、ごはん、たりません…』 まだ、棚のいちばん上から テレパシーを送り続けていた はんなりとした風情のママさん いくら細心の注意を払いながらとはいえ すでに部屋の中は、結構な騒ぎだというのに… なんで、この激戦区でコレがいちばん最後なのか こんなに近い距離まで近寄ってくるというのに なんで、洗濯ネットが必要なのか そんなことをぶつぶつ言いながら 私たちは彼女の頭に洗濯ネットをかぶせたのです ここまで、猫15匹 全員、完璧に近い状態で完了しています 残すところ、あと1匹 ただ、最後に残ったのは ある意味、私と第二秘書が いちばん躊躇してしまうかもしれない子… そう、今は特別室に ひとりぼっちで暮らす彼女です おそらく、頭のいい彼女は 大部屋での騒ぎに気付いていたはず それでも、特別室に入ると いつものように床まで降りてきました 背中を撫でると いつものようにお尻をあげて ゴロゴロと喉を鳴らし、目を細めた彼女 ただ、そーっと指で 首筋から背中の毛をわけようとすると それまでの優しいゴロゴロを止めて 鋭い目つきで睨むのです 『まさか、わたしにはしませんよね…』 公園時代から、かなり警戒心が強く 人を信頼しなかった彼女 最初に捕獲したあと 約2年間、彼女は完全に怒っていました もちろん何度も噛まれたし、叩かれたりもしました すでに出会いから12年が経過しましたが 今でも、すべての人に 甘えていける子ではありません ただ、今の彼女には 甘えても大丈夫だと思っている 数少ない相手はいます たぶん、そのうちの二人が私と第二秘書 仲良しの弟分がいなくなってからも それまでと変わらずにやってきて 撫でてほしいという姿がいじらしくて… できれば、このまま 彼女の嫌がることはせず、怖がらせず 甘えさせておきたい気持ちはありました けれど、だからこそ 自分たちがやらなければ… 私たちは、そう言い聞かせながら 箱の中で威嚇する彼女に 最後の洗濯ネットをかけたのです その日、初めて噛まれた第二秘書の指と 初めて引っ掻かれた私の手の甲 傷口に絆創膏を貼りながら ああ、これでまたしばらくの間 彼女は絶対に許さないだろうと思いました こうして、私たちと猫たちとの 約3時間にも及ぶ戦いは幕を閉じました その後、休憩する時間もなく 各部屋に置いてあるすべての物を外に運び出し 隅々まで何度も掃除機をかけました 各部屋の棚、床、壁… ありとあらゆる場所の拭き掃除をして 洗える物は、すべて洗濯へ あの日、終電までねばってまわした 洗濯機の回数7回 それでも、山積みになった洗濯物は洗いきれず 翌日以降のお当番さんたちの協力で 無事に全部終わったことと… あの戦いでノミは見事に全滅し 今は平和な日々を取り戻していることを付け加えて この報告を終了とします 「中之島公園猫対策協議会HP」 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp 「はいはーい、2号、やっと完結しましたね」 「うん…」 「もうノミもいないし、必死にやった甲斐があったよね」 「うん…」 「今回はちびたも1ヶ月半で許してくれたしね」 「うん…」 「じゃあ、あとは2号よろしくね」 さてと… ここまで時間稼ぎをしてた第二秘書も もうこれ以上は無理なようですね じゃあ、第二秘書さん 次回の更新、私も楽しみにしてまーす 猫 ボランティア・保護活動ランキングへ 人気ブログランキングへ ブログランキング参加中 …といいながらも、まだまだ更新停滞中 ちなみにTwitterはこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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