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猫のおきて

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2006.07.04
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テーマ:蕎麦(1)
カテゴリ:猫たわけ共
 夕刻、住宅街を歩いていると、どこからか、「にゃー」と、猫の鳴き声。
 はっとして立ち止まり、耳を澄ますともう一度の「にゃー」。
 道端の生垣、その足元のほうから聞こえているよう。そこに近づいてしゃがみ「どうした。にゃー?」と声をかけるとまた「にゃー」と聞こえるものの、既に辺りは暗く、その姿は見えない。
 人間を警戒しているのか? その割には鳴き声で居場所を知らせているし、さて? と思いつつも、私はそのとき蕎麦屋の水埜さんへ急いでいたので、気になりながらもその場をあとに。

 しばらく行くと30代と思しき男女二人連れが、四つ角にいて、「じゃあ、おまえこのブロックな。俺はこの左やるから」などという声が聞こえてきた。私はいったんは通り過ぎたものの、「もしやさっきの猫は迷い猫で、彼らが探しているのでは?」と思いつき、そう思ったら気になって足が止まってしまった。
 で、くるりと振り返り「すみません。つかぬ事を伺いますが、もしや何かお探しなのですか? 迷い猫とか」と声をかけると、「いえ、違います」との返事。「ああそれならいいのですが、今そのへんにそんな感じの猫がいたものですから。どうも失礼しました」と、その場を去ろうとすると、「あ、これぜひお願いします」と、男性のほうから紙片を手渡された。見れば近所にゲルマニウム温浴が開店したというちらし。

 ――見るもの聞くもの全て猫に結び付けて考えてしまう自分。体の芯まで猫本位制がしみ込んでしまっている。

 別に不本意でもないけれども。





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Last updated  2006.07.04 23:48:10
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