松本のウイスキー・キャット
このところずっと俳句にかまけていて、その方面に関心のない方にはお退屈様。俳句以外の猫話題ももちろんあるので、今回はフィールドワークの話題をば。 去る1月末、仕事で松本に行ってきた。「寒いぞ~」と脅されていたのに、好天で、思いのほかの暖かさ。東京と変わらない気温に、拍子抜けした。 さて仕事が終わって後、地方に出たとき恒例のバー巡り。 と、最初に行ったバーで、こんなものをもらった。『MATSUMOTO BAR GUIDE 信州松本BAR紀行』 バーガイドの冊子である。松本は人口比におけるバー軒数が多い「バーの町」だそうな。 薄暗い照明の下でページを繰っていたら、当家の黒猫「ち」によく似た、ほっそりして尻尾の長い猫が描かれているのに気付いた。「ハテ? 松本と猫、何か関係が?」 地方に出たときは猫系巡りも恒例であるから、事前にこの地の猫系史跡、猫系文化財なども調べてある。その際にはそれらしい物件はヒットしなかったので、一瞬訝しんだがハタと気付いた。関係があるのは「松本と猫」ではなく、「ウイスキーと猫」なのである。 そう、描かれているのは“ウイスキー・キャット”。古来、ウイスキーの蒸留所では、そう呼ばれる猫たちが飼われ、ウイスキーの原料の大麦を鼠から守るために働いていた。猫好きで酒好きな人間(例えば私とか)には、たまらなく嬉しい存在だ。(ちなみに、スコットランドならぬウェールズ出身のC・W・ニコル氏が、『ザ・ウイスキー・キャット』という素敵な物語を描いている。お勧めの佳品) そして、冊子にはこんな文章が。「バーの町、松本を散策すれば、バーを守るウイスキー・キャットと出会えるかもしれません」 文庫本を模した体裁といい、猫をフィーチャーしているところといい、気が利いている。酒場って「気」が大事だから、こういうところから知れる通り、松本のバーの水準は高かった。おかげで楽しいバーめぐりをすることができた。 猫には会わなかったけど。※2月22日配信のメールマガジン「猫のおきて」でも、この話題を取り上げます。