清水宏監督作品
「日本の港の女」
「ありがとうさん」
「按摩と女」
「簪」(かんざし)
の4作を観る。
夫がBoxセットなるものを購入していた。
清水宏(1903-1966)ということで、エライ昔の人です。はじめてみたとき、タイトルが「女の港の本日」になっていて、ビビりました。しかもトーキーかよ!
でも古くはあっても、そのモチーフは今でも生きています。「ありがとうさん」(川端康成原作)は主人公は一応男性ですが、すべて、女性がモチーフとなっているようです。
完成度からいえば、もし後残りの人生で上記4作から1作しか観られないなら、「按摩と女」でしょうか。欧米の映画評論などを見ると、「初めて盲目の人物の“視点”を表現した」と高く評価されているそうです。
その次に観た「簪」(井伏鱒二原作)は、多数のキャラクターで作品を構成しようと試みて失敗(?)したのではないか、、と思いました。コミカルな部分もあり、観やすいのですが、はっきりいって、まとまりが悪い。
でもこの作品のモチーフは好きです。「按摩と女」が人生に対する限りない諦観であれば、この作品はそこからの脱却やRehabilitationを描いているような気がする。
そして映画の中では、その再生の行方を描ききっていないところも良い。これから田中絹代演じる女性が、どう生きていくのか。
階段を上りきるのか、振り返るのか。といったところ。
日本の昭和初期の作品は違いますねー
最近の日本映画はあまり観ていませんが、時代もありましょうが、同じ国か国民かというくらい全然違う。
なんといっても監督が違うのだと思う。清水監督は「役者なんかモノを言う小道具」と言ったというので有名らしいですが、ちゃんと人が使えている感じ。
流行りものの映画というのは、好きな俳優や女優を観にいって、そこそこ話題にもなりましょうが、こうして時代が経ってしまったり、外国映画として日本映画を観る人にとっては、そうした一過性のものは取り払われた状態になるので、見苦しくないものだけが残っていくのでしょう。