毎週毎週、昔の名作ばかり見せられて疲れる。
時には、ぱーっとしたハリウッド映画みたいなのが観たい。
と、夫に言ったら見せられたのが、この映画。
どこがハリウッド!?(配給はFOXだが。。)
どこがぱーっとしてる!!???
もう、超ブルー。
ミッキー・ローク、こうなったんだあ。。
社会派映画として観ようとすれば、アンダーグラウンドな職業人(レスラーやストリッパー)たち、親の責任放棄と家族の崩壊、セーフティネット皆無のアメリカ社会の悲惨。。なんかを読み取ることができる。
だけども私はこれはRetirementの物語だと思う。
安寧にRetirement(引退・退職)をするには、人には、条件や能力や要る。多くの人は引退してしまってから、その条件や能力が満たされていない、満たす努力には遅すぎることを知る。
リングの上でしか輝けない人生。リングの上でだけ、皆の賞賛と尊敬を集め、何者か(somebody)であることができる主人公。
仕事の中でだけ輝ける、自分のフィールドの中でこそ、何者かであることができる人たち。でもそこを離れたら、ただの何者でもない、もしかしたら何も持たない「自分」と向き合わざるを得ない。
所属からはずれたときの自分のちっぽけさに向き合う、というのが、Retirementのイニシエーションのような気がする。
思えば仕事というのは、ドラッグのようなもので、一度始めて、しかも一度他者から評価なんかされちゃうと、なかなか足が洗えない。気持ち良いのである。
奇しくもレスラーは長年のドラッグ(ステロイド)の使用がたたり、心臓をやられた。
(以下反転)
結局彼はリングの上で(仕事と共に)生を全うすることを選んだ。
自分の尊厳を守った、ともいえる。
それができるのだったら、それが悪いこととは思えない。
そうすることだけ、が自分の尊厳を守る方法だったのならば。
The Wresler(ザ・レスラー)(2008)
ダーレン・アロノフスキー監督
ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞受賞作品
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