ユゴ 大統領有故(The President's Last Bang)
イム・サンス監督 2005年
1979年10月26日、韓国の大統領(当時)朴正熙(パク・チョンヒ)が暗殺された。
首謀者は韓国中央情報部(KCIA)部長、金載圭(キム・ジェギュ)。
この作品は、大統領暗殺の一日を描いたもの。秀作。
公開直前に、元大統領の遺族が当作を名誉毀損として上映禁止を訴えたそうです。(で、いい話題になった。。)結局、大統領の記録映像部分3分50秒を真っ黒にして上映されたもの。私の見たDVDでも最初の部分がずっと黒くて、あれ~と思ったのですが、そういういきさつがあったのですね。
おもしろいのは、欧米の映画批評では“Black Comedy"と紹介されているこの作品が、本国では訴訟沙汰になるくらい、まだ生々しく、全貌も明らかにされていない、生きた「タブー」であるということ。
DVDの特典インタビューでは、監督も「自分はタブーを破った」と、宣言していました。
タブーとコメディか…。でもタブーとされていることを、あえてコミカルに描くというのに、この監督のアナーキーな男気を感じました。
後味が悪いのもいい。
リアルで。笑えるのに、悲しくて、しかも救いがない。でもそれが人生。どこか突き放したような、乾いた感じ。
韓国映画にはたまにこういう骨太映画がありますね。なにはともあれハッピーエンドにしないと売れない日本市場とは違うのでしょうか。まあこの映画だって、「売れて」はいないかもしれないけどね。
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