くりごと

非常にやばいと思っている

いつの間にか私も口うるさいオバサンになっているのだろうけれど、

やばいという言葉の使い方が気になってしょうがない。

まったくやばいくらいに気になる

それ程この言葉は日常あちこち大手を振って氾濫している。



私達が中学高校だった頃、このやばいという言葉がようやく

学生の間で使われ始めたように思っている。

もちろんやばいは古くからある言葉であるが

一般的な社会では使われていないというかかなり偏った社会での用語、

それをあの時代の学生達が面白がってある意味いきがって使い出した。

確かそれ以前は一般家庭に入ってきているような言葉じゃなかった。



成長の過程で大人ぶったり背伸びしたり悪ぶったりの年齢がある。

ありふれた言い方だけどそのような頃の年代が使い出したのだった。

普通の家庭で許されるような種類の言葉ではなかったものだ。

それを使った学生達はそれが世間一般から言う「悪語」だと知っていて

だからこそ面白がって使って流行らせたのではないかと思う。



一転してそれからもう何十年も過ぎて今の世の中

やばいは普通の言葉と化してまかり通るようになった。

言葉とはある意味生き物であるから変遷はしょうがないとは思う。

でも最近のやばいの意味が大きくなり過ぎているのが気になる。



美味しい物を食べたときに「やばい～」と皆言うのは何故？

可愛い物を見たり見つけた時にも「やばい」と叫ぶのは何故？

昨日の沖縄での飛行機爆発事故の映像には

撮影している周りの声が「やばい」、「やばいっ」、「すっげぇやばい」

そればっかりなのは何故だ

それ以外に驚きを表す言葉を知らないのだろうか



知っていてわざと婉曲して使う言葉は意味があって面白いと思う。

でも最近の若い人達は恐ろしい程語彙が少なく無知だ。

だから何でもかんでもやばいで済ます事が多いのではないか。

美味しいを表す言葉をやばい以外知らないのではないか。

たとえ難しく知らなくても自分の感情や感動を表す言葉を

知っている中からやりくりして自分を表現する面白さを知らないのだ。



日本語はとても意味が奥深く語彙も多く複雑な言葉だと思うけど

それを駆使しようとすると実に面白い情緒の世界が広がっている。

そこまで面倒臭く解釈する必要もないのだけれど

ただ耳にしているだけでも同じ単語が繰り返されるだけの会話は

色に例えるならば原色が数色あるだけの世界に過ぎず

人の心のように複雑に入り組んだ動きを表すにはあまりにも未熟だ。



やばいを面白がって使いだした年代の私達がいけなかったのかも。

無垢な世代には初めて知った時が勘違いであってもそれが真となる。

こうやって間違いが堂々とまかり通る世の中に

隅っこで違うぞと激しく罵り声を上げるうるさい婆がここにいる。



勘違いが当たり前の顔をして歩いている現代に疲れてしまう時がある。

影響力のある人間達が恥しげも無く間違った知識を披露して、

初めて聞く人達はそれを正しいと勘違いして次から次へと使い出し

そして次の世代では当たり前にそれが間違いのまま受け入れられる。



私は嫌だよ、そんな変な世界は。

ぜんぜんという言葉の終わりは否定形になるのが常識なのに

「ぜんぜん大丈夫」とか「ぜんぜん平気です」とか使われている。

耳に慣れて来てしまったけどこれもやばいと同じく変な言い方。

全く反対の意味や使われ方に変化してしまうのなら気持ち悪い。



言葉だけじゃないけれど「知っていてわざとやる」のと

「知らなくて信じてしまう」のとでは違って来ると思う。

簡単に日本語の乱れとかって言い方はしたくない。

でももう少しだけ日本語の良さに目を向け耳を傾けられないものか

スペルや文法が間違ってても英語の方がカッコイイって思ってるのか