くりごと

昨日、地元北区に新しくオープンした区立新中央図書館に行ってきた。

敷地に隣接する自衛隊十条駐屯地には明治－大正期に建てられた旧東京砲兵工廠（こうしょう）の赤レンガ造りの建物群がずっと残っていたけれど、老朽化などの理由から次々と壊されていた。

最後に残った赤レンガの建物を歴史の証人として保存しようと人々が保存運動をしていたのだけど、最終的に北区が残っていた昭和19年構築の建物を取得して改造し、新しい建物の一部にそのまま残した形で図書館としてオープンされる事になったのだ。

解体されてしまったレンガは、駐屯地の外壁に利用されてはいるものの、建物として残ったのはここだけである。




新しい建物に調和して内外両面で趣を楽しめるデザインになっていると思う。


この赤レンガ倉庫は戦前は旧日本陸軍の「第一造兵廠」として鉄砲や火器を作る工場として使われていたそうだ。

夫の亡き父は防衛庁に勤めていて武器弾薬関係の技師として設計などに携わり、別の場所でだが工場長を務めていたという事もあり、何となく近しい気持ちになってしまうから不思議である。




この赤レンガ倉庫の保存運動はネットを通じて沢山の人々によびかけがあり、私も香港からリンクしたりと小さな協力をして保存を願っていたので、今回このような形で残される事になったのはとても嬉しく思っている。

一時TVのコマーシャルに出ていた「おじゃるず」の一人が王子出身で、この運動を一生懸命にしていたのはもう10年近く前の事だったと思い出される。




近代的設備の新しい図書館は、広々としたスペースに沢山の本やCD,DVDや資料が整然と並び、オープニングセレモニーの日とあって沢山の人々が訪れていた。

私も早速登録して来たが、開館後少しして落ち着いた頃にはゆっくりと楽しめる憩いの場所になるだろうと期待している。



この日は区民オーケストラの演奏などもあり、バーベキューが出来る公園も隣接している事から大変な人出となっていた。



館内には北区の部屋というのが出来ていて、古くから近くまでのこの地域の歴史に関する本や資料が揃っていて、私はそこで足が止まって動けなくなってしまった。

元々歴史も好きだし、地元についても深い興味がある事から、これからは何時間でも資料を読みふけって楽しめる場所が出来て本当に嬉しいと思う。

私は好きな本は宝物として手元に置き、何度でも再読して新たなる感動を受けて幸せに思う性格なのだけど、資料や写真集にまではなかなか手が出せずにいたので、これから情報誌に書いている「北区の散歩道」の作業もここで随分と助けて貰えると考えている。





本に囲まれて過ごす時間は至福の時である。

気がつけば北区の部屋で数時間があっという間に過ぎてしまっていた。

夫も自分の好みの本や写真集を見たり楽しんでいたようで、帰りに合流するまで全くそれぞれ別の空間で夢中に過ごしていたようだ。





帰り道に撮ったエンジェルトランペットの花。


この木は毎年見事に花を咲かせるので楽しみなのだけど、今年は去年よりも驚く程沢山の蕾をつけている。

仄かに良い香が雨の降りそうな空の下に漂う夕暮れを、吟にご飯をあげなくちゃと急いで帰って来た。