くりごと

今年もまた８月６日が来た。

数えればもう64年も過ぎてしまったのだけど、いまだにその後遺症に苦しむ人々や

あの惨状をくぐりぬけて心に癒えない傷を持ち続けている人が数えきれない程いる。

時間が過ぎ、直接の体験者の数は年々少なくなって来ているけれど、日本が核の人体実験にされた

恐ろしい事実は永遠に消える事は無い。




それまで空襲があまりなかった広島に、いくら軍事関係の施設が多かったとは言え

多数の一般市民を巻き込んでしまう事は、予め想定内であったにも関わらず原爆投下は実行された。

あれは100％一般市民を巻き込んだ無差別殺戮に過ぎない。

アメリカ人がいまだによく口にするリメンバーパールハーバーの攻撃とは全く異なるものだと

まず日本人が理解していなければいけないと思う。





毎年多くの日本人観光客がハワイを訪れ、真珠湾攻撃記念の場で半分沈没した戦艦で

「馬鹿じゃないかいいまだにやってるブイサイン」をして写真を撮ったりしているようだ。

行くのは構わないが、過去（それ程遠くない過去に）日本とアメリカの間、世界に何があったのかを

少しでも調べて考えてから出掛けて欲しい。






今朝は麻生総理が記念式典後に原爆症認知の上告を取り消す事を決めたとか何やら聞いたけど

選挙前だから実現した、作られた美談な気がしてしょうがない。

ただ、それによって救われる人達がいるのは心から良かったとは思うのだけど

どうせこうやって認める事になるのなら、どうしてもっと早く救済の手を差し伸べてあげなかったんだ

建前や言葉の綾を盾に取って、どれほど多くの被爆者達が苦しんで来た事だろう。

原爆手帳さえあれば医療費がただになるのに、手帳を取得する為に被爆した事を証明してくれる証人

それも被爆手帳を持っている証人が２人必要などと条件があるそうだ。

あの混乱の中、生き残ったのがただ一人の場合だってあるだろうし、証明出来る人を見つけるだけの

体力が無い人達だって大勢いただろう。





日本人はお国の為に命を捧げる事を幼い頃から頭に刷り込まれて強要され洗脳され、

男達は無謀な戦場にろくな作戦も立てられないような参謀達の自己満足や無知な精神論によって

送りこまれ、食料も弾薬も補充されないような、そして人命を何とも思わないような扱いをされ

それでも故国の家族の為に殺されて行った・・・餓死や病死の方が戦闘での死者より多かったかも

そんな風に思える程の無謀な戦いを強いられて死んでいった。

その間、命をかけて守ろうとされた家族達も、無差別攻撃にさらされ痛めつけられていた。





馬鹿な政治家を選んでばかりいたら、これからの将来だって日本がどんな道に進むか解らない。

自分の保身と金儲けばかり頭にある奴らばかりに見える今の官僚や政治家達。

選挙の度に何時も思うのだけど、候補者の「人柄が良い」とか「お世話になってる人からの紹介」や

「地元の有力者だから」とかの理由で何故投票してしまえるのだろう？？

人が良くたって政治家としての活動がどうかは解らないと思う。

町や村の有名人の息子だからなんてのはもう馬鹿そのもの！





こんな風に自分の権利としての一票を大切に考えて投票する気持ちがなくては

日本が再び政府の勝手でどんな風に動いてしまうか見当がつかない。

今みたく選挙前は、実に心に響くような甘い餌を沢山きかせられている。

実質を見よう、しっかりと自分の考えを確認しよう。

ほんの少しの角度が変わるだけで、あの暗く恐ろしい時代が再びやって来ないとは言えないのだ。




今朝平和式典をテレビで見ていて、鐘と共に黙祷を捧げながら涙が止まらなくなった。

こんな事は初めてだったので我ながら驚いてしまった。

年を取ったからかもしれない。

でも私は絶対にあの時代の記憶を風化させない。

うるさがられても子供達にその都度伝える義務があると思うし

孫が出来たらおっかない話をしてあげようと思う。





オバマ大統領を広島に招待しようという運動があるそうだ。

出来る事なら世界中の政府指導者に当たる人々に、あの原爆資料館をじっくり見学して欲しい。

アメリカが投下したからアメリカがどうのこうの・・・そんな小さい考えから離れて、

「原爆・核兵器」の惨状がどんなものなのかをじっくり見て欲しい。

原爆が落とされたから戦争が早く終結し、それ以上の戦死者を出さずに済んだ、

だから原爆は必要悪であったのだ・・・・こんな勝手な論理にされる為に

広島と長崎で30万人近くの人々が苦しんだ訳じゃない。

そんな理論が通るなら犠牲者は犬死になってしまうだろう。





原爆の死者や被爆者達の苦しみや痛み悲しみを無駄にしない為には、原爆の投下国がどこだったとか

あの時の戦況上どうだったとか、こまごまとした事は言わないで、

ただただ原爆が落とされると、その下にいた人達はこんなに恐ろしい辛い目に遭うのだと、

目を向けられないようなむごさ悲惨でおっかない状態で死んだり血を流したりするんだよ、

その恐ろしさを理解して貰えたら良いと思う。




原爆資料館に行って、気分が悪くなったり、恐ろしさで貧血を起こす程の状態になってくれたら

その人はきっと核兵器を使う理由は何が何でもあってはいけないのだと理解するだろう。

「だって」とか「だから」とかの理由付けはどんな状況でも誰にも許される事ではないからだ。

そんな人が増えてくれる度に、亡くなった人達の命が無駄じゃなくなると思う。