昨日アップしたレシピ【鶏肉のレモン風味】が掲載されている本向田邦子の手料理】をご紹介したいと思います。

故向田邦子さんは数々の高視聴率ドラマのシナリオライターとして活躍され、後に短編の連作で第８３回直木賞を受賞されました。

１９８１年台湾への取材旅行中、航空機事故に遭い若くして他界されました。
脂が乗っている時期というか、まだまだこれからの活躍が期待されていただけに当時のマスメディアは大騒ぎでした。

私は当時彼女の作品をエッセイも含め、殆ど購入して読むほどの愛読者でしたから、そのニュースを聞き胸がしめつけられるショックを受けました。

たまたまつけていたＴＶで田辺聖子さんのサイン会の様子が報道されており、そこへ向田さん事故死のニュースが届いて、田辺聖子さんが「えっ！うそぉっ！」と目を丸くして絶句する姿が映し出されたのまで覚えています。

その向田さんが生前、末の妹さんと【ままや】という割烹料理店を開いたお話は有名ですが、食べるのも作るのも大好きな彼女が生前よく作ったレシピを妹さんが再現して作られたのがこの本です。

料理本としてのみならず、多くの作家や知人が生前の彼女を偲んで書いた偲び草がレシピの合間に挟まれており器に凝った彼女の愛用品や、数々のエピソードも紹介され食にまつわる文化の香り高い料理本といえると思います。

さほど手間暇のかからないレシピや昔懐かしいお袋の味も多く掲載されています。
私の日常菜の多くは向田さんのこの本から頂いており、キッチンに広げて使っていたので数カ所にシミを作ってしまいました。
所々メモ書きもしたりで汚れてしまったけれど、こんな風に使われていることを彼女はきっと天国で喜んでくれていると勝手に納得しています。