【レスティング・プレイス】
楽天レンタルで借りて見た作品です。
借りた動機は「モーガン・フリーマン」が出ているから(笑)
大好きなんですよね、彼の渋い演技とその表情が
でもこの映画の主人公は彼ではありません。右側の男優「ジョン・リスゴー」演じる遺族支援士官の少佐が主人公です。ハリウッド俳優の未公開作品を発掘してリリースする新レーベル「Treasure Hollywood」の第1弾となるドラマ、ということで借りてみたのでした。
ベトナム戦争の真っ只中、遺族支援士官の男が体験する戦争や差別によってもたらされた悲しい現実を描く。
と解説されていたのでもっと暗くて悲惨なシーンを想像していたのですが、そうではありませんでした。
戦争の回想シーンはまったくなく、未だに人種差別の残るアメリカの地方を舞台に物語は淡々と進みます。
モーガン・フリーマンが演じるのは戦死した息子を迎える父親。
自慢の一人息子の死を押さえた演技で内に秘め、涙もなく淡々と、しかし凛として受け止めます。
人間としての誇りやプライドというものはかくあるべしと教えられる思いです。
しかし人種差別の残る地で息子を町中の墓地に葬ることを拒否されて少佐の方が困惑、なんとか遺族の思いを遂げさせようと奔走することになります。
ここからの展開は少しミステリー要素が加わり、「えっ、どうなってくの?」って感じで一気に映画の中に引きづり込まれます。
1970年代が背景になっているので、今ではもうこうした差別は解消されているのかも知れませんが、そこは広いアメリカのこと、未だに根深く残っている地方もありそうな気がしますね。
戦闘中に死んだ息子に何が起きたのか・・・何故彼は死んだのか、親は疑問にも思っていません。彼らの為に行動を起こしだした少佐は調査する内に隠された事実があることに気づき、解明すべきか、解明した結果で遺族が苦悩しないかと1人悩みます。
観る者にも選択肢を与えられる場面ですね。自分ならどちらを選ぶだろうかと。
でもこの時にいくつかの調査から類推した「事実と思えること」が果たして真実なのか、それが問題です。真実を突き止める前に迷って諦めてはいけないことをこの映画は提起しています。
でも、もし真実が類推した通りだったら主人公はどういう処置をしたのだろうと考えました。難しい選択だなぁと・・・
アメリカは今もイラク戦争で戦死者を出していますから、この映画もきっと生々しい現実なのでしょうね。
人種差別をする側をも淡々とした日常として描き、信念・正義を声高に叫ぶでもなく、人間の良心のブレを描き出して観る者の心にじんわりと訴えかけます。最後にはちゃぁんと感動も!
アメリカ人にしては珍しく中庸タイプを演じるジョン・リスゴーの演技もなかなか見事で、すっかりファンになっちゃいました!(笑)
いい映画でした、お薦めです
なんでこの作品が未公開だったのか不思議でなりません。
監督: ジョン・コーティ
製作: ロバート・ハドルストン
製作総指揮: マリアン・リース
脚本: ウォルター・ハルジー・デイヴィス
撮影: ウィリアム・ウェイジズ
音楽: ポール・チハラ
出演: リチャード・ブラッドフォード リチャード・ブルックス
[俳優] モーガン・フリーマン ジョン・リスゴー ジョン・フィルピン CCH・パウンダー G・D・スプラドリン