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カテゴリ:現代詩ーネオテニーな
ぼくは乞食じゃないから
物乞いはしない けれど ぼくは 円形劇場の中央に立って あなたから 注目されたいんだ あなたがぼくのために 作ってくれた人形? 白い嘴をした 天狗の人形を ぼくに くれるのか どうか こころのなかで 問いかける あなたは 答える いいえ違うわ なにも 差し上げるものは ありません と言いながら ぼくに何か隠してる 天狗の人形 隠してる 物乞いは しない けれど あなたから注目を 浴びたいんだ 全身に いっぱい 浴びたいんだ ぼくは 円形劇場の中央に立っている あなたは閉ざされたまま 恋人に出会い ぼくは 眼の片隅に その情景を感じている あなたは あきらかに人形を持っていて その白い嘴の天狗の人形が 恋人に手渡され ぼくは やっぱり ショックを受けている ぼくにこころを開いてくれなかった あなたに ショックを受けているんだ やっぱり ぼくは 物乞いしている 円形劇場の中央に立って ぼくは 物乞いしている 物乞いの視線感じるんだろうか ピシャッと閉ざされた あなたがいる ぼくには それが耐えられないんだ 閉ざさないで お願いだから 閉ざさないで あなたは一度もぼくに こころを開くことなく 円形劇場を去ってしまった もう二度と現れることはないんだ もう二度と 残された印象 あなたの閉ざされた 冷たい鉄の門扉が ぼくの劇場に 足跡を残している 冷たく そこだけ 入り込めない 憧れている 憧れている 冷たく ピシャッと ぼくを拒絶している ああ 白い嘴の天狗の人形! ぼくは あなたから 欲しかった ぼくは 欲しかったんだ あなたの作った 天狗の人形 欲しかった んだ 欲しかった んだ 老人を喜ばす なんて こと 考えたことないんだろう たぶん あなたは あなたの幸せを 追求する だけ で 精一杯なんだ たぶん そうなんだろう 精一杯なんだ けれど 老人を 喜ばせるのは 簡単なんだ 偶然とはいえ 入った円形劇場で ほんの少しだけ 中央の人物に こころを開くだけでいいんだ そうして 些細なものでいい 贈り物をして欲しい たった それだけの こと たった それだけのことが 老人を喜ばすんだ ほんとうに よかった! ずーっと このまま 寂しく ずーっと このまま 誰にも注目されることもなく そのまま 焼かれて 灰になって 石になってしまうのか 円形劇場の中央部分で 起立して 立って 一心に 演じていたのに そのまま 焼かれて 灰になって 石になってしまうのか そう思うと 老人にとって 些細な贈り物 が 老人の人生の 最後の色合いを 180度も変えてしまうのだ そう思うと ぼくは あなたから 貰えなかった賞賛が 歯軋りするほど 悔しかったり するんだ 歯軋りする ほど 悔しかったり するんだ ああ ぼくを賞賛してくれ 些細なもので いいんだ ぼくに 贈り物を くれ ぼくは 賞賛を 浴びたいんだ 老人に 最後の チャンスを与えてくれ 賞賛を 贈り物を 与えてくれ お願いだから こころを 開いて 欲しいんだ 老人に 最後のチャンスを お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/06/15 07:28:24 AM
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