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ぼくになまえがついたのは、ぼくが、CTIジャパンというコーチ養成機関のワークショップに参加して、ついた。ブラックジャックというなまえだ。CTIでは、ワークショップに参加する前に、受付で自分の愛称をカードに書かせ、そうしてそれを胸につけさせる。ワークが行なわれている間、ずっとその愛称で振舞うのだ。ぼくは、アルファベット2文字を書いた。抵抗があったんだ。いやむしろぼくは、なまえを持たない。持っていない。ような気がしたんだ。少なくとも本名は書きたくない。本名はなぜかすんなりとぼくには、受け取れない。だから抽象的にアルファベット2文字にした。
そしてワークが始まった。まず、自己紹介をする。しかしこれが路上で、誰彼かまわず行なわれる。そんな幻想が呼び覚まされる。延々と、数十分間行なわれ、からだが火照ってくる。路上のようなところで、人々が誰彼かまわず自己紹介をしているんだ。遇う人、遇う人そのたびに。自己紹介お互いにしまくる。そんな数十分が瞬く間に過ぎる。これがアイスブレイクだということは、後で知った。 自己を開示する。これが大前提なんだ。そうしないと、すべてが無駄になる。誰彼かまわず、出会った目の前のひとに、すばやくそして熱心に行なう。路上ですれ違う人びとが身近な人びとに変化する。そんな幻想を懐かせる。からだがほんとに熱くなる。ぼくはずいぶんいろんな人びとに出会った。そして自己開示した。それぞれのひとがそれぞれのこころで受け取ってくれた。もうそれだけで充分。愛が出現していた。そんなワークの始まり。 ぼくは、輪の中にいた。輪の中心にいることもできるんだ。そんな気づきが、訪れた。ワークのひとつ。お互いになまえを考えてあげる。輪の中心にいるひと。全員が、そのひとに注目する。そのひとの本質を感じ取る。それは、五感だけじゃなく、直感もフルに活用して、輪の中心の人にフォーカスする。これを交替で行なう。最後に、なまえをつけてあげる。お互いに本質的ななまえがつく。 ぼくは、ブラックジャックというなまえがついた。後日、メーリングリストに参加することになるが、省略形でBJというふうになった。以来ずっとこれでプライベートは通している。BJ。手塚治虫の漫画の主人公に雰囲気が似ている。他人にこの説明をすると、ああなるほどね。といわれる。どこが似ているのか。たぶん、冷たい感じ。クールさ。それでいて、人間愛を持ち合わせている。しかし、どこか鬱屈している。明るくなれない。革命のこころを持ち合わせている。どこか暗い影がある。引きずっている。その姿を隠さない。自らのその姿を直視している。逃げない。そんなイメージがある。BJ。ぼくは、このなまえを生きる。そう決めた。(つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/07/19 07:41:46 AM
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