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カテゴリ:エッセイ
このところ低空飛行を続けていた。
その理由も見えてきた。 一つ目は、両親のこと。ふたりとも80歳を超えているので、一緒に過ごせる時間ももうあまり残っていない。悲観的に考えていた。誰が両親の寿命を決めたんだ。誰も決めていない。また、両親と一緒に過ごすことが、ほんとうに自分にとって幸せなことなのか。考えた。たとえば、マザーテレサは、愛することを実践し、伝えてくれてきたわけですが。彼女自身は、両親と一緒に生活することを断ち切って、最も愛を必要とするひとびとのために、彼女自身を捧げてきたわけです。 二つ目は、CTIのリーダーシッププログラムを受けるに際して、会社を辞めなければダメだと考えていたこと。これも悲観的な考えだ。いま会社を辞めたら、まず住宅ローンが払えなくなる。自己破産してしまうだろう。それに安易すぎる。自分で起業して、営業活動してそれでどれだけの利益を出せるのか。もっと事業計画をしっかり立てなければ、ダメだ。コーチングのセミナー開催だけで顧客が簡単に掴める。あるいはコーチングのセミナーそれも偽物のセミナーで顧客が信用してくれるのか。甘いな。 三つ目は、リーダーシッププログラムって、自ら積極的にモチベーションが高まってないと受ける意味がない。なんせ120万円の自己投資なんだから。自分は、自信がなくなっていた。ほんとうにできるのか。ほんとうに「愛すること」に自分を捧げるつもりか。自分に何回も何回も問いかけ続けていた。反応が、鈍い。自分は、このプログラムを活かしきれないんじゃないのか。悲観的な考えだ。 いずれの理由においても、共通なことは、それぞれの悲観的側面にとらわれて、身動き取れなくなっていたことだ。 このとらわれがある時点で、急に変質した。それまでは、自己に集中しなければならないと思いこんでいた。自分を見つめるんだ。そう思いこんでいた。それで、独りになって、閉じこもっていたんだ。しかし、そんな精神状況を何日間もつづけていても、毎日なにもおもしろいことがない。ただ身体がどんどんだるくなるだけ。それこそマザーテレサがおっしゃる精神的な貧乏状態。誰かぼくを愛してください状態だ。 切っ掛けは、会社の会議にあった。なかば身体を引きずるようにして会議に出席していた。あたまのなかは、まったくカラッポだ。会議室は狭くて、身体が動かせない。閉所。恐怖。エアコンも利かない。数時間閉じ込められた。トイレにもなかなかいけない。携帯電話にも出られない。話が強制的にカラッポの脳髄に注入されつづける。とても我慢しきれなくなって、席を外した。そして、数十分後、突然、お呼びがかかった。いきなり引っ張り出され、全員の前で立たされた。リクエストがあった。おまえがキーマンなんだ。だから抱負を一言で語れ。とのこと。 そのときは、なかばあきらめ自己の心情を語った。走ります。このことを達成するために、なにがなんでも走ります。と。 コミットメントだ。してしまった。んだ。みんなのいるまえで。 絶対に達成してやるぞ。そういう気分がたぶんじょじょにわいてきていた。絶対に100%達成してやるぞ。 これが、当社の流行語大賞をとった「戦闘力」か。なんとなくわかってきた。見えてきた。 上腕筋のあたりから蒸気が立ち上っているような。身体がやる気になってきている。なんでもできそうだ。決断力もありそうだ。まずなによりも早朝に目が覚めた。そして、この文章を書いている。 低空飛行の諸原因も整理できる。 一つ目は、両親がどう感じるか。それが心配だ。というのは、ウソだ。自分がどうしたら充実するのか。それで行動せよ。両親を喜ばすため。なんて思うな。それはウソだ。家に帰るな。それが結論。 二つ目は、会社を辞めるな。やっぱり高いハードルから逃げようとしているだけだ。逃げ切れるのか。逃げた先の地獄に耐えられるのか。人間性を捨ててもいいくらいの覚悟ができているのか。まずいまの会社を認めろ。そのうえで実績を出せ。そのうえで堂々と自己を主張せよ。堂々とプログラム参加のための休日を請求してみろよ。そういうことだ。 詩人として生きたいなら、いまの職業で死ぬほどの身を削れ。 コーチとして愛していきたいならば、いまの職業で仲間を愛せよ。 そういうことだ。 三つ目は、まずは金を惜しむな。自己に投資するんだろう。惜しむな。そして、投資して、それを有効に活かすために、最大の努力をせよ。休めるかどうかなんて二の次だ。まずはいまの会社での実績を出せ。そのうえで会社に交渉しろ。順番が違うぞ。 だから 踏み込め。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/09/14 05:15:44 AM
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