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2015.10.12
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カテゴリ:映画(こ)

今回の一言
サスペンスじゃなくて良かったんじゃね...?

2005 イギリス
サスペンス、ヒューマン、ラブストーリー

監督
ジュリアン・フェロウズ
Cast
トム・ウィルキンソン
エミリー・ワトソン
ルパート・エヴェレット
リンダ・バセット

ストーリー
ロンドンに家を持ち、美しい田舎町バーミンガムシャーに別荘を持ち、弁護士として成功しているジェームズ。
家と別荘を使い分けながら妻・アンと夫婦2人で幸せに暮らしていた。
ある日、バーミンガムシャーでは有名な上流階級の貴族の息子・ビルがアメリカから帰って来る。
ビルと出会ったアンは仲良くご近所付き合いをしている様子だった。
そんなある時、アンはバーミンガムシャーの別荘で、ご近所の皆を招待して立食パーティーを開く事にする。
しかし、その日、1人の男性が車にはねられ死んでしまう。
立食パーティーに参加出来ず、遅くに帰ってきたジェームズは、パーティーに参加していたビルと共に、ビルの車で迎えに来たアンと会う。
別荘まで送ってもらったジェームズは、ビルの車に傷がついているのを知った。
翌日...。
家政婦・マギーの夫が車にはねられ重傷だと知ったジェームズは、ビルの車の傷を思い出し、彼に疑いの目を向けるのだったが...。





感想
(ちょっとだけネタバレ)
好き嫌いがハッキリ分かれる作品です。
私が思ったのはサスペンス要素が弱すぎる!

しかし中高年の夫婦の形の方をメインに考えるのであれば秀逸だとは思います。

「幸せ」というのはとても微妙なもので、「幸せ」だからといって何も不満も我慢もないのかと言ったらそうではない。
それでも「幸せ」なのは、そーゆー小さなものを気にせずに、働き、ご飯を食べ、五体満足で健康で、家族を大事にしながら、夫婦が仲良く歩み続ける事。
しかし小さな不満なんかを我慢せず、さらけ出してしまえばこの作品の様に、すべてが崩れていくわけです。

面白いのはこの作品には「悪役」が居ないところです。
私ももう少し若ければ「なんだ、この女?!まじムカつくんだけど。死ねばいいのに。つーか、ジェームズはなんでこんな女を大切にするんだ!イラつくわ!!」と間違いなく思ったでしょう。
でも私も彼と結婚し夫婦になり、少しはアンの気持ちが分かる様になりました。笑

でも、もしもアンの様に行動するとしたら、私はアンの様にフラフラする事は絶対にしません。
あれは確実に「情」です。
しかも「赦される」事が分かっていて、「情」に流されている。
情はあった方がいいと思いますが、あれは本当にジェームズが可哀想すぎる。
あんな風に社会的に成功した、いい歳の男性が、誰にも言わずに、隠れて泣くなんて辛すぎる。
まぁ結果、気持ちは分かる様になったけど、でもやっぱりこーゆー女嫌いだわ~です。笑

それからもう1つの面白ポイントは「嘘のつき方」です。
悪意が全くないとは言えませんが(マギーには悪いから)皆がそれぞれ誰かの幸せを願って嘘をついています。
言い換えれば、悪意しかない嘘はついていないんですね。

人は多かれ少なかれ皆、嘘をつきます。
嘘をつかずとも、黙っている事もあります。
この作品の「嘘」は、「嘘」は必ずしも悪ではないと、感じる事が出来ます。

それから「夫婦の危機は1度でいい」がとても印象的なセリフです。
確かに!と納得。

ビルも嫌な奴かと思いきや、そんな事はなく、きちんとした大人でもあり、自分の行いも分かっていて、ジェームズに対してもきちんとした思いがあり、かつ愛もありました。
アンの言った「彼はあなたの事が好きだったのよ」は真実だと思います。

そして「夫婦の危機は1度でいい」と言われながらも真実を伝えたジェームズと、雨の夜の決意はとても素晴らしかったです。

マギーのあの対応はいかにもイギリスの階級社会っぽくて、あまり理解は出来ませんね。
8年間も失業してたって言うからそれだけ感謝していたし、人としても好きだったという事なんだと思いますが。
私には無理だなー。笑

このシーンの警部の悔しがり方は好きです。
彼は脇役ですが、あのアクションですべてがわかります。
捜査は暗礁に乗り上げ、未解決になると。
そもそもマギーがあれじゃ、事件すらなくなってしまい捜査出来なくなるかもしれない。
正義を振りかざしても、そこが公務員の限界だとね。笑

サスペンスとして観るには弱すぎという事で評価は低めです。

でも俳優陣は皆、素晴らしかったです。
中高年の夫婦の形を感じる意味では秀逸な作品で、ストーリーは重め。
大人の人向きで、若い子には向きません。
それと、結婚してる人の方が向いているもしれません。

my評価5点(10点満点中)





概要
ジュリアン・フェロウズの初監督作品。
彼は1981年から83年まで2年間俳優として活躍し、その後は脚本家に転向。
2001年に「ゴスフォード・パーク」でアカデミー賞脚本賞を受賞し、その後はTVドラマシリーズ「ダウントン・アビー」でエミー賞も受賞している。
また今作で彼はナショナル・ボード・オブ・レビュー賞新人監督賞を受賞した。
今作は日本劇場未公開でDVDのみ発売されている。


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Last updated  2015.10.12 12:50:23
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