ビッグバン AT
現代のビッグバン理論によれば、宇宙はゼロサイズの無限の密度に凝縮されていた、とされます。無限は数値化できないので人間はそのような状態を把握できません。 空間も時間も存在しなかったとすれば、宇宙はどのようにして現れたのでしょうか。シュローダーを引用しましょう。 *************** 約五百年前、ユダヤのカバリストは次のような理論を立てた。 永遠を満たしている創造主は、自らの一部を縮小した。その縮小された個所に宇宙は広がった。創造主は無限の領域から十の次元(様相)を宇宙内に留めた。 これは創世記の最初の章で「一なる神々は言った…」が十回繰り返されていることから推測できる。十次元のうち四次元のみが現在の人間には把握できる。残りの六次元は天地創造の六日間に顕微鏡でも発見できないほど縮小された次元となった。 今日、言われている四次元とは、長さ、幅、高さ、時間、である。この四次元で我々はすべての動きを叙述する… 驚くべき一致というべきであろうか、現代の素粒子研究者はひも理論を説いて、十次元の存在を仮定すれば宇宙の統一的説明が可能であると考える。十次元が存在すれば素粒子間に働く基本的フォースを統一的に説明できる。十次元とは我々が知っている四次元に六次元を加えたものだ。この六次元は最高の顕微鏡でも観察できないほどに縮小されているが、これこそ宇宙の基本構造を最も深いところで、統合的に把握することを可能にすると考えられている。(Genesis and the Big Bang, p.59) ************* この不可解な状態から10―43秒後(十×百万×百万×百万×百万×百万×百万×百万分の一秒後)宇宙は、すべての物質が肉眼では見えないスペースに凝縮され、1032ケルビン温度(百×百万×百万×百万×百万ケルビン度)の状態になります。ちなみに太陽の中心は千五百万ケルビン度、太陽表面は五千八百ケルビン度です。(ケルビン温度の零度は摂氏マイナス二百七十三・一度)。 そして10―35秒後、宇宙は10―24センチの大きさになります。この瞬間、一度きりの不可解な力―一種の反重力―が発生し、後にも先にもない急激な膨張率で宇宙はグレープフルーツの大きさに膨張します。 驚くべきことに、ラムバン(ラビ・モーシェ・ベン・ナフマン、またの名をナフマニデス)はすでに十三世紀においてビッグバン理論と同じ見解を述べています。それはそのまま現代の物理教科書に載せてもおかしくないほどです。 ************ 一なる神々の創造の一瞬後にすべての物質は一粒のカラシ種よりも小さい場所に凝縮されていた。 このときの物質は希薄で中身のないものだった。しかしやがて中身と形態を備え知覚可能な物質となる潜在力を秘めていた。この最初の知覚不能な凝縮されたものから、中身が拡張し、宇宙を拡張したのである。 拡張が進むと中身が変化した。最初の希薄な無形のものが今日見られるような知覚可能な物質の特性を帯びるにいたった。最初の創造から、最初の縹渺たる擬似物質から、今までに存在し、これから存在するであろうすべてのものが、過去、現在、未来を通して形成されるのである。(Genesis and the Big Bang, p.65) ***********