・特に予定がなかった私はまたバスの人となってしまった。行き先は"おのづから 雄こゝろ胸にをこるなり 轟の滝はますらをの滝"と、歌人吉井勇が詠んだ「轟(とどろき)の滝」。片道1300円のふらり旅。巷ではお盆ではあるが涼を求め、老若男女かなりの人が訪れていた。私の場合、スナップ写真を撮っただけに留まったが、エメラルドグリーンの滝壺を見て次回は水着持参で来ようと思う。
スナップを撮り終えた後、滝に隣接する休憩所で早めの昼食をとる。かなり時代物の休憩所のようで入り口には招き猫ならぬ良い感じの「招きばあちゃん」が座っているので、ツイ入ってしまった。轟峡は日本名水百選に名を連ねているようで、お品書きにはまず「流しそうめん」が一番最初に書いてある。そうめんは昨日食べたので、それ以外でなにか、、、あゆの塩焼き、おにぎりとビールという組み合わせになった。
味のほうは、香魚と呼ばれる「あゆ」独特の臭みが少なかった(先にビールを飲み、タバコを喫ったのもいけなかったけど)。あゆと言えば、やはり池波正太郎原作『鬼平犯科帳』の猫どのが作る「鮎めし」の記述を思いだしてしまう。やはり私は美味しんぼの類いのひとりなんだろう。
その後、帰りのバスが午後3時なので待つより歩くのが早いんじゃないかとJR湯江駅まで約1時間ほど歩いた。途中「轟アイスクリーム」という看板を見つける。注文するとおばさんが「だんなさん、こちらへどうぞ」と併設してある休憩所でありがたいもてなし。片田舎でこんなおばさんがいたとは、と思うのと平行し、傍目から見てもダンナさん、と呼ばれる私もオジサンの領域に入ったのかとちょっと嬉しいようなでも悲しいような複雑な心境になったのは確かだ。
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