・午後から暇になることがわかっていたので、朝方に用事を済ませる。映画も見たし、さて何処へ意向かと思案した末にいつか行こうと頭の隅にあった場所へのバスが偶然にもこちらへ向かって来た。長崎駅前から片道180円のバスに揺られる。約20年前には出来ていなかった道路を走ってゆくので本当にその場所へ着くのか心配にはなったが、余計な心配だったようで次第に見覚えのある風景になった。
今では長崎では知らないものは多分居ないくらいに名の通った建設会社に入社(就職では無く)し、1年間の曲折を経てある小学校の体育館の現場を監督見習いとして受け持ち、基礎掘りから鉄骨の建て方などをまがりなりにもやらせて貰った事がある。まあ、その後に些細なミスを連発し、結局はその会社を辞めたというオチはあるのだけれど、そんなことはさて於いて。バスを降りると微かではあるが見覚えのある道筋をなんの苦も無く通り、目的の場所へと歩いていった。
久しぶりに見たソレはところどころ色褪せはしているものの、その場所に建っていた。前時代的と思われても構わない、最初から手を掛けた仕事を後になっても見れるのは「建築物」の特権だろうと思う。苦心したほどまだ残っている姿を見るとそれは殊の外感慨深いものになっている。24年前の記憶がまるでビデオテープを逆再生するように甦ってくる。記念に運動場から全景を撮りたかったのは山々だったが、時代の趨勢だろう昨今の諸事情により校門はキッチリ閉ざされていた。
それでも一部はなんとか見えているので、角度や場所を変えて2枚だけ撮った。今度来る時もそこに在る建物であって欲しいと思いながら足早にその場を後にした。振り返り様、次に来る頃には白髪の爺になってるんじゃないか、と。在る建物はつぶやいた。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 25, 2004 02:11:47 PM
コメント(0)
|
コメントを書く