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カテゴリ:日々雑感
体験した内容を克明に「書く」、つまり文章化した経験が何度かあります。
ある選挙を手伝った時のこと。 選挙戦終盤になって選挙違反を取り締まっている警察から呼び出しがかかりました。 取調室・・・。 まあ、ドラマの風景を思い浮かべてもらってそんなに違いはありません。 取り調べにあたる警官はドラマとは違って地味ですけどね。 水谷豊とかギバちゃんなんておもしろいキャラが出てくる心配は一切ありません。 取調官は二人。 当初は「文書違反」について聞いて来ました。 あのビラは誰が蒔いたかな? 責任者はだれだっけ? あの日出てきていたのは・・・ さまざまに思いを巡らしながらやり取りをするのですが、本音のところ、 どんな容疑がかけられ何をターゲットにしているかが把握しきれません。 やがて、1ヶ月前にあるレストランでもたれた会合に尋問の矛先が移ります。 供応をあげるのが狙いなのかな・・・・などと思っていると ある自陣営の地方議員の名前が出てきたり・・・・ 昼食をはさんでほぼ丸1日、事情聴取は続きました。 内容は5項目ほどの出来事におよび、何を警察が掴もうとしているのかいまひとつはっきりしません。 警察も初動捜査の段階、選挙期間中でもありその日は帰宅しました。 表面的に聞かれた出来事ではなく、警察はどのあたりまでの事件ととらえているのか・・・・ どのくらい本気で取り組んでくるのか・・・ そんな事が現段階では一番知りたいところです。 ----------------------------------------------- こんな時のまず最初に手をつけること。 呼び出しの電話がかかっていた時から初めて・・・ 警察の門をくぐり・・ 取調室に入り・・・・ 自宅に帰るまで・・・ その一部始終を時系列で文章化すること。 時間をおかず、疲れていてもいっきにその日のうちに(その夜のうちに)書き上げます。 先回の日記でいうところの追体験をし、文字化するということです。 その内容を、何人かの事務所の動きを把握しているメンバーに読ませ、検討を続ける中でほぼ明確に警察の意図が浮かんできます。 不思議なものです。 あれほど見えなかった意図が、突然見えてくるのです。 なぜあの取調官はあのことをしつこく念を押したのか・・・ なぜ、声を荒げたのか・・・ あそこで茶を出したのはどんな気持ちだったのか・・・ 別れ際のあの言葉は何を意味するか・・・ 断片的な出来事につながりのある意味づけが得られるのです。 徹底して見えているものを言葉にしていくと、見えないものが見えてくる。 あまり具体的に書くことはできませんが、書くことにはこんな効果があろのです。 「ドーナツの穴は見えない。 しかし、回りの食べる部分を描けば穴が見えるようになる」 この方法諭を私に教えた男を「師」と呼ぶことはもはやないでしょうが、 彼の語ったこの言葉は見えないものを見る方法を教えてくれたと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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